離婚前に別居をする場合、必要な生活費を確保するために、収入が少ない配偶者には婚姻費用分担の請求が認められる場合があります。一方で離婚した後には、元配偶者に対して養育費の請求が認められる場合もあります。
離婚前には 児童手当 の 所得制限 のため、児童手当を受け取ることはできなかったけれども、離婚後は受け取れることもあるでしょう。別居と離婚、果たしてどちらを選択するのが良いか、今回はこの問題に関して掘り下げてみようと思います。
別居よりも得?児童手当の仕組みと所得制限について考える。
新制度がスタート。所得制限が導入されることに!
2012年6月分からの児童手当に関しては、所得制限が導入されるようになりました。夫婦どちらかが働いていて子供が2人居る世帯の場合、年収が960万円以上になると児童手当は支給されません。
その代わり、特例として子供1人あたり5,000円が支給されるという制度です。この特例は当分の間続けられる見込みになっています。
今年(2016年)に関しては、所得制限の額に変更はありませんでしたが、今後、児童手当の所得制限と子供1人あたり5,000円を支給する特例は変更される可能性があります。したがって、その動向を注視する必要がありそうです。
年収と所得、どちらでみられるのか?
児童手当の所得制限のベースとなるのは、「年収」ではなく所得税や住民税が控除された後の「所得」の方になります。お勤めをしている人が年末になると受け取る、源泉徴収票に記載された「給与所得控除後の金額」が、所得制限の判断に使われる基本となる金額になります。
「所得金額の合計」から、さらに控除可能な「所得控除」を差し引き、加えて「施行令に定める控除額 8万円」を差し引きます。こうして諸々引かれた後の額を、児童手当の所得制限額と照らし合わせることで、自分が所得制限の対象かどうか調べることができます。
また、夫婦共働きの世帯においては、夫婦の2人の収入を合算するのではなく、どちらか一方、高い方の収入を参考にします。
別居と離婚の選択を、子供の年齢で考える
児童手当で受け取ることのできる額は、子供の年齢によって違っており、以下のようになっています。
- 0歳以上3歳未満:15,000円
- 3歳以上小学校修了まで:10,000円(第3子以降は15,000円)
※第何子かを数える際に、高校卒業時期を過ぎた子供は人数に含みません。
- 中学生:10,000円
この結果、自分の収入が所得制限の対象にならなければ、離婚をしても上記の金額を受け取ることができます。離婚後に子供の養育費の請求が認められる可能性も考慮すると、離婚前に所得制限の対象となっていた場合は、離婚を検討したほうが経済的に得をする可能性が高いと言えます。
また、0歳から3歳未満までの子供に支給される金額が高いことに注目すると、この年齢層の子供を連れての離婚では、よりメリットがあると言えるかもしれません。
なぜなら、他の年齢層の子供と比較すると、一般的にその年齢層の子供には比較的お金がかかりません。それにもかかわらず、他の年齢層より高額な児童手当が受給できるという、いわば矛盾が生じているからです。
離婚前後の状況を、総合的に判断することが大切
別居後・離婚前は、婚姻費用の請求が認められれば、自分の分も含めた生活費の支払いを受けられますが、離婚後の元配偶者からの支払いは、子供の養育費のみに減額されることになります。
それでも、児童手当を始め福祉的な給付の受給が可能であれば、婚姻費用を貰い続けるよりも経済的には得をするケースもあり得るのです。
したがって、早く離婚すべきか婚姻費用の支払いを受け続けるべきなのかを判断するには、先述したように、もともと所得制限の対象になっていなかったかどうか、将来的に受け取ることができる養育費の額、児童手当の額、自分がどれくらい稼ぐことができるのかといった、離婚前・離婚後それぞれの状況を検討してみる必要があります。
まとめ
別居よりも得?児童手当の仕組みと所得制限について考える。
新制度がスタート。所得制限が導入されることに!
年収と所得、どちらで見られるのか?
別居と離婚の選択を、子供の年齢で考える
離婚前後の状況を、総合的に判断することが大切