離婚理由として、勝手に理由もわからず夫が出て行った、夫から生活費が振り込まれない、専業主婦なのに家の中のことを何もしないなどといったことがあり、慰謝料を請求することが可能なのをご存じでしょうか。
「 悪意の遺棄 」として請求できる 慰謝料 についいてお話します。
『悪意の遺棄』慰謝料の相場は50万円以上?!
『悪意の遺棄』とは?
民法によって、「夫婦は一緒に生活をし、お互いに扶助しなくてはいけない」と決められています。悪意の遺棄とは、これに違反することを『故意』に行うことをいいます。
仕事の都合での単身赴任や、同意のもとの別居、夫婦関係がすでに破綻した状態での別居などの場合は、悪意の遺棄の対象とはなりません。
悪意の遺棄に該当する例としては次のようなものがあります。
- 生活費を渡さない、働く能力があるのに働かない
- 不倫相手の家に入り浸って返ってこない
- 家出をよくする
- 専業主婦なのに全く家事をしない
- 勝手に家を出て行った
悪意の遺棄は明確な規定があるわけではなく、解釈が難しいです。肝心なのは、『夫婦生活が破綻してないにも関わらず、他方の一方的な別居もしくは、生活費を渡さない』ということです。
夫婦関係が維持できないことを知りながらあえてその行動をとる、もしくは何もしないことを『悪意の遺棄』といいます。
慰謝料請求の前に証拠を集めよう!
悪意の遺棄で慰謝料をもらうためには、証拠を集めなくてはいけません。悪意の遺棄の場合は、配偶者が“故意”に生活費を渡さない、もしくは同意なく家を出て行ってしまったという証拠を示すことが必要になります。
生活費が支払われない場合
生活費が相手から受け取れない場合、いつから渡されてないのか、それによって生じている家計への負担、または生活費を催促した記録などを取っておくことが大切です。
生活費が振り込まれる場合は通帳の写し、生活費を催促した場合はその会話を録音する、もしくはあえてメールなど記録が残るもので催促するなど、事実がわかるものを用意しましょう。
勝手に別居した、もしくは帰ってこない場合
別居になってしまった経緯や、別居開始の記録、不倫相手の有無や別居先を特定できるものなどを用意しましょう。
ギャンブルにお金をつぎ込み借金をして生活費を入れない、自分が稼いだお金だといって生活費を入れないなど、金銭的な部分でいえば証拠を集めるのは簡単です。
しかし、生活費は入れるものの、不倫相手の家に入りびたって帰ってこないなどといった場合は、証拠を集めるのが難しく、専門家の力を借りることも大切です。
慰謝料の相場
悪意の遺棄によって離婚にいたってしまった場合、慰謝料を請求することができます。
悪意の遺棄が離婚の理由であり、それ以前に夫婦生活が破綻していた場合は慰謝料の請求は難しいです。あくまで別居や生活費を渡さないといったことは、夫婦生活が破綻した『結果』であり、夫婦生活の破綻する『きっかけ』になってはいけないのです。
慰謝料の相場としては、50万円~300万円といわれています。
あくまで基準を100万円とし、これまでの経緯や精神的苦痛を考慮して増減されます。
少し昔の話になりますが、1985年浦和地裁判決で夫が妻に対し、悪意の遺棄・不貞行為を行ったため300万円の慰謝料と土地を財産分与として妻に渡した判例があります。
慰謝料を多くもらうコツ
悪意の遺棄の場合、実際に相手が“悪意”であったのか、実際は本人でなくてはわかりません。そのため悪意であったかどうか証明するにはとても困難です。
わざわざ相手が悪意であったと証言する必要はなく、別居に至った経緯や相手の言動から“常識的”に悪意があったと推測が可能であれば、悪意にあたると推認され慰謝料を請求することができます。
そこで、集めた証拠が役に立つのです。より多くの証拠を集め、精神的苦痛を被ったことを証明できれば、慰謝料も高額になる可能性があります。
悪意の遺棄のような解釈が難しい離婚理由であっても離婚が認められ、慰謝料を請求することが可能ですので、まずは証拠を集めるところから始めましょう。
まとめ
『悪意の遺棄』慰謝料の相場は50万円以上?!
『悪意の遺棄』とは?
慰謝料請求の前に証拠を集めよう!
慰謝料の相場
慰謝料を多くもらうコツ