最近問題になっているモラルハラスメント。言葉や態度で相手に精神的暴力を振るい、傷つけるこの行為は、会社だけではなく家庭内でも問題になり、離婚の原因にもなります。
モラルハラスメントの加害者には幼児期に 親 から愛情を受けられずに育ち、 自己愛性人格障害 を患っている人がいます。
自己愛性人格障害は親に愛されなかった子どもの持つ障害
自己愛性人格障害の特徴
極端に他人と共感できないことが原因で、他人と摩擦を起こしやすくなるパーソナリティー障害のことです。特に相手の苦しみや悲しみという気持ちが理解できないと、相手の立場や状況を考慮せずに追い込んでしまったり、自分の意見を押し付けてしまいます。
他者も自分と同じように事情や感情を持っているということを理解することができません。周囲と摩擦が起こり、孤立してしまっても自分に原因があると気が付くことができません。
そのため、自分の言動を顧みて反省する機会もなく、人によっては転職を繰り返す、結婚しても離婚してしまうことになります。
自分も当てはまる?自己愛性人格障害とは
自己愛性人格障害とは、言葉にもあるように自分を愛する気持ちが人格に影響を及ぼすことです。自分を大切に想う気持ちはもちろん必要で、自己肯定感は身に着けなければなりません。
ですが過剰な自己愛は他人を受け入れたり許容することの妨げになります。他人を見下し態度に表すことや、賞賛を常に求め、得られなければすぐに挫折してしまう、相手の話を聞かずに、自分の話ばかりするという特徴があります。
健常者の中にも他人を見下したり賞賛を求める人もいますが、自己愛性人格障害の人は、実力が伴っていないことが多くあります。実績や功績がある訳ではないのに自分は特別な存在だと思い込んでいます。
自己愛性人格障害の人は、他人からは自信があるようにみえますが、深層心理としては全く自分に自信が持てていないことが原因です。
自分に自信がない、認められない、愛することができない、そのような自分の精神状態を保つために周囲からの賞賛を求めたり、自分が特別な存在と思い込むようになります。
賞賛を得たり他人に認められるためには、実績を積み重ねていく必要があるのですが、自分が特別な存在であると思い込んでいるために、初歩的な仕事を嫌ったり、たった数回ミスをしただけで耐えられなくなり仕事をやめてしまうことがあるので、着実に実力や知識を高めていくことができません。
どうして自己愛性人格障害になるのか
自己愛性人格障害になる原因として、幼少時代に親から適切な愛情が得られなかったことが1つとして考えられています。
子どもはもともと、自分は何でもできる、自分はすごい存在なのだと思っています。そしてそんな自分を否定せずに受け入れてくれる親の存在が健全な自己愛の形成には重要になってきます。
自信を持っているから外へでることができ、自分の未熟さを知り、挫折を体験することで他人を思いやる気持ちも芽生えてきます。
他にも、脳内の神経伝達物質のバランスの崩れや生まれながらに持っている気質も原因と考えられています。
気が付いてからでも遅くない、適した治療を始める
自己愛性人格障害の人が結婚をして、子どもを育てることは非常に難しいといえます。子どもに適した愛情を与えることができずに、その子もまた何らかの人格障害に悩まされる可能性があるからです。
周囲と人間関係を良好に保てない、あるいは自分が正しいと思っていても、人間関係が原因で離職や離婚をせざる負えなくなった場合は、自分の人格に問題があるのではないかとみつめ直す必要があります。
自己愛性人格障害の治療の主体は精神療法で、物事の考え方や対人関係を改善していき、必要であれば薬物療法が用いられます。本人に合った治療方法を選択できるので、その効果が期待できます。
まとめ
自己愛性人格障害は親に愛されなかった子どもの持つ障害
自己愛性人格障害の特徴
自分も当てはまる?自己愛性人格障害とは
どうして自己愛性人格障害になるのか
気が付いてからでも遅くない、適した治療を始める