児童手当は、多くの家庭で受給していると思います。そうした児童手当ですが、実は当然に受給できるものではないことをご存知ですか?児童手当には所得制限の規定があって、一定以上の年収があると支給対象になりません。
そのような話を聞くと納税者としては納得できない人もいることでしょう。今回は 年収 によって線引きされる、 児童手当 の所得制限の規定について考えてみようと思います。
年収が高いと損をする!?児童手当の所得制限の功罪
「子ども手当」から「児童手当」に
子ども手当に代わって平成24年に新しく始まったのが、この児童手当の制度です。子供に掛かる生活費を支援する目的で作られた制度です。子供1人に対する児童手当の支給額は、以下のようになっています。
- 3歳未満:15,000円
- 3歳以上小学校修了前(第1子・第2子):10,000円
- 3歳以上小学校修了前(第3子):15,000円
- 中学生:10,000円
※第何子かを数える際に、高校卒業時期を過ぎた子供は人数に含みません。
児童手当の制度は1972年から実施されており、平成22年から「子ども手当」と呼ばれていましたが、平成24年に「児童手当」という呼び名に戻されました。それと同時に、所得制限の規定も復活したというわけです。したがって、一定の所得がある家庭は、支給の対象外ということになります。
年収ではなく所得で判断
児童手当の所得制限は「年収」ではなく「所得」が基準となります。所得とは所得税・住民税が控除された後の金額のことです。毎年年末になると渡される源泉徴収票を確認してみて下さい。
そこに記載されている「給与所得控除の金額」が、児童手当支給の判断に用いられる基本となる金額です。
児童手当の支給対象の判断は、夫婦合算の所得で判断されるわけではなく、どちらか高い方の所得で判断されます。間違えやすいポイントですので、夫婦共働きの世帯は注意してください。
実際に、どのくらいの所得・年収があると児童手当の対象から外されてしまうかというと、以下のようになります。
- 子供1人:所得660万円・年収875万6千円
- 子供2人:所得698万円・年収917万8千円
- 子供3人:所得736万円・年収960万円
限度額を超えた際の支給額はゼロ?
限度額を超えてしまったら児童手当は全く支給されないのかというと、そうではありません。限度額を超えた世帯には、児童手当として一律5,000円が支給されることになっています。
高額所得者には全く恩恵がないという制度にはなっていませんので、その点については安心してください。
同じ年収875万6千円でも・・・
所得制限の対象となる875万6千円という年収に注目してみましょう。年収876万6千円の世帯には、1人で875万6千円稼ぐ世帯もあれば、共働きの世帯もあります。
先述の通り、児童手当の支給対象は、高い方の所得を参考にして判断されますので、年収876万6千円の年収があっても、共働きであれば児童手当を受け取ることができるのです。
一方で、夫の収入のみで生計を立てている年収876万6千円の世帯では、年収が所得制限にかかってしまうため、児童手当の支給対象外ということになります。
ここで、もう少し掘り下げて考えてみましょう。日本の税金は累進課税方式なので、所得が低いほど税率が低くなります。共働きの場合それぞれの所得は低いので、税率が低く抑えられることになります。
控除される税金の額が少ないことから、同じ世帯年収でも税率が低く抑えられる共働き世帯の可処分所得(自由に使えるお金)がより多くなる傾向があります。
このような状況にありながら、児童手当は、比較的所得が高いものの可処分所得が少ない傾向にある、1人で家計を支える世帯には支給されず、より可処分所得の多い共働き世帯に支給されているという矛盾した現象も起こっているのです。
まとめ
年収が高いと損をする!?児童手当の所得制限の功罪
年収ではなく所得で判断
限度額を超えた際の支給額はゼロ?
同じ年収875万6千円でも・・・