財産分与 とは、離婚の際に結婚生活で夫婦が築き上げた財産を公平に分けることをいいます。財産分与について細かく取り決めをせずに離婚してしまうと、大きな損失になりかねません。
法律上で認められた権利を生かし、本来受け取るべきものは受け取りましょう。
財産分与で損をしない!離婚の際に注意したいポイント
財産分与は大きく分けて4種類
法の定める財産分与には、4つの種類があります。「清算的財産分与」は離婚する夫婦の共有財産をわけることです。婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、それぞれに分与します。
「扶養的財産分与」は離婚後の生活費を一時的に援助するために支払われるものです。夫婦のいずれかが働くことができないなど、離婚した後に経済的な不安がある場合、支払われる場合があります。
「慰謝料的財産分与」は離婚によって精神的苦痛を与えられた場合に慰謝料の意味合いを含めて分与されるもので、これが十分に補てんされていると慰謝料を別に請求することができなくなります。
「婚姻費用」は結婚生活における生活費のことです。離婚前なら別居中でも生活費を支払う義務があるため、未払いになった分が財産分与の際に考慮される場合があります。
財産分与の対象になる共有財産は?
財産分与の対象として認められるのはどんなものか、具体的にあげていきましょう。
まず考えられるのが夫婦で協力して取得した住居や有価証券、自動車、高額な宝飾品や美術品、家財道具などです。結婚してからの預貯金や保険金は、夫婦のどちらの名義になっていても共有財産と見なされます。
それに加えて将来受け取る予定の年金や退職金についても、結婚している期間の分は財産分与の対象になるのです。ただし借金や住宅ローンなども対象になるため、注意します。
また夫婦であっても、財産全てが共有のものではなく、所有権が個人のものは特有財産や固有財産などと呼ばれ、財産分与からは外されます。
たとえば独身時代の預金や結婚前に購入したもの、嫁入り道具などは共有財産とは認められません。結婚後でも贈与や相続で入手した財産も分与の対象にはなりません。
普段身に着けている衣類やアクセサリーも特有財産です。ただし高額な宝石や時計などは共有財産と判断される場合があるので気を付けましょう。
共有財産をわけるときのポイント
共有財産をわける前に、どんな財産があるのかを調べておくことが大切です。夫婦だけの話し合いで離婚する場合、財産を隠されると正しく分与することが出来ません。よく考えてリストアップしていきましょう。
まずプラスとなる財産を計算します。家や株などはその時点での時価を基準に、自動車は中古車の査定額を調べて、金額を割り出します。
続いて、返済が残っているマイナスの財産を計算し、プラスの財産から差し引きます。この差額が共有財産の総額の目安です。最後に自分が欲しいものの優先順位を決めておくと、いざというときに交渉がしやすいでしょう。
財産分与の割合は夫婦の合意があれば自由に決定できますが、裁判所の判例などを参照して決められるパターンが実際には多いようです。
最近では専業主婦でも2分の1の割合で分与するケースが増えています。ただし家事を全くしなかったなどの落ち度があれば貢献率が下がり、分与も少なくなります。
金銭以外の財産はどうわける?
共有財産の中でも車や家などは売却せず、離婚後も分与された側が使い続ける場合がほとんどです。その場合、家や車が分与されるべき金額を超えていれば、差額を現金で支払うのが一般的です。
その際に一括ではなく分割払いにすると、未払いなどのトラブルが起こりやすくなります。できるだけ1回目の支払い金額を高くしたり、分割の回数を少なく設定したりして、公正証書などに残すのが無難です。
他にも名義変更や税金の問題、ローンが残っているなら債務者の審査なども必要になるため、できれば専門家に相談したほうがいいでしょう。
年金分割制度で知っておきたい注意点
年金も分与の対象になります。ただし年金分割制度の対象になるのは夫が加入している厚生年金もしくは共済年金のみで基礎年金(国民年金)の部分は含まれていません。加えて婚姻期間中の分に限られています。
第3号被保険者は自動的に夫の厚生年金または共済年金の2分の1を受け取れますが、共働きの場合は夫の標準報酬額が妻より多い場合に限り、2分の1までを限度として自由に分割の割合を決めることができます。
まとめ
財産分与で損をしない!離婚の際に注意したいポイント
財産分与は大きく分けて4種類
財産分与の対象になる共有財産は?
共有財産を分けるときのポイント
金銭以外の財産はどう分ける?
年金分割制度で知っておきたい注意点