日本において、離婚件数は増加傾向にあります。こうした中、離婚経験者が子連れで再婚するケースも増えています。養子縁組をして、新しい配偶者と子供との間に法律上の親子関係が生まれることを望む親は多いことでしょう。しかしメリットがある一方で、デメリットもあるのが養子縁組です。
事前にしっかり検討したうえで、 養子縁組届 を提出することをお勧めします。
子連れでの再婚、養子縁組届を提出する際の3つの注意点
養子縁組制度
血のつながりのない者同士が、双方の合意に基づき親子関係を結ぶことができます。これが養子縁組制度です。養子縁組届を提出することで、法的に実の親子と同等の親子関係が成立します。これによって養子と養親との間には、相続や扶養に関する権利義務が生じることになります。
普通養子縁組の場合、実親との関係も継承されます。したがって養子は、実親と養親、両方に対する権利義務を有することになります。ちなみに特別養子縁組の場合は、養子と実親との親子関係は断たれますので、実親に対するこのような権利義務関係は承継しません。
新しい配偶者と連れ子との間の親子関係は、再婚すれば自動的に発生するものではありません。養子縁組届を提出しない限り、新しい配偶者と連れ子との関係は、単なる姻族の関係にとどまります。ご説明した権利義務の関係は双方の間に発生しませんので、注意が必要です。
養子縁組のメリット
養子縁組を行うことで、法律上養子は実子と同等に扱われます。この点が養子縁組の大きなメリットです。
新しい配偶者が亡くなった場合を考えてみましょう。養子縁組をしていなければ、子供には配偶者の財産を相続する権利がありません。しかし養子縁組をしていれば養子には相続権がありますので、法定相続分の相続が認められるのです。
養子縁組のデメリット
養親への扶養義務が生じるため、養子縁組届を提出する前に老後の介護のことまで考える必要があります。
夫と妻の双方が子連れで再婚といったケースでは、養子縁組する子供の人数によって、相続額が元の相続額を大きく下回ることも起こり得ます。子供がある程度の年齢に達している場合は、このようなことも考慮する必要があるかもしれません。
養子縁組届、提出前に確認を!
養子縁組のメリットとデメリットは、ともに遺産相続に関することが大きな割合を占めています。養子縁組をしていないことが理由で、普段の生活において困ることはほぼないと言ってよいでしょう。
そして、いざ相続が発生したときに養子縁組をしていなかったとしても、遺言をして贈与する(遺贈)という手段もあります。
養子縁組をすることで、新しい配偶者に連れ子に対する扶養義務が発生します。一方で、将来的には新しい配偶者に対する老後の面倒を見る義務が、連れ子には発生することになります。これは連れ子本人にとっては、とても重要な問題です。
連れ子の将来を左右する連れ子自身が判断すべき問題を、再婚する当事者だけが決めてしまって良いものでしょうか。子供が自分の意思で判断できる年齢に達するまで、養子縁組届の提出を待つという選択肢も考えてみてはいかがでしょう。
養子縁組届を提出する際のポイント
再婚と同時に養子縁組をすることに決めているようでしたら、婚姻届と養子縁組届を同時に提出すると手間が省けます。婚姻届と同時に、養子縁組届もあらかじめ受け取っておくと良いでしょう。
養子縁組届には、証人記載欄に加えて、養親と実親に関することや住所、本籍地などを記入する必要があります。分からないところは空欄にして、窓口で教わりながら記入すると間違いを防ぐことができます。
時間外窓口を利用して養子縁組届を提出する場合も、わかるところだけ記入して取り敢えず提出するようにすることをお勧めします。不備がある場合は、役所から追って連絡が来るはずです。その際に、必要な情報を伝えるようにすれば大丈夫です。
まとめ
子連れでの再婚、養子縁組届を提出する際の3つの注意点
養子縁組制度
養子縁組のメリット
養子縁組のデメリット
養子縁組届、提出前に確認を!
養子縁組届を提出する際のポイント