「養育費の差し押さえについて知ろう(前編)」では、養育費を差し押さえるための条件や差し押さえられる財産の範囲についてご紹介いたしました。それでは後編では、実際に 養育費 の 差し押さえ の手続き方法についてご説明いたします。
養育費の差し押さえについて知ろう(後編)
養育費の差し押さえの手続き方法
差し押さえの手続きは、原則、相手方の住所を管轄する地方裁判所に申し立てを行います。
費用としては、申立手数料として収入印紙 4,000円、切手代です。切手代は裁判所によって金額は異なるので、申し立て行う際に確認しましょう。
その際に必要となる書類は、大きくわけると、養育費の支払い義務が相手にあることを証明するもの、差し押さえの対象となる財産の情報、住民票や戸籍の附票です。
住民票や戸籍の附票は、市役所に行けばすぐに取得できます。
財産の情報は、給料を差し押さえる場合は、最寄りの法務局に行き、代表者事項証明書を取得します。銀行の口座を差し押さえる場合は、銀行名および支店名が必要となります。口座番号までは把握しておく必要はありません。
問題となるのは、養育費の支払い義務が相手にあることを証明するものです。具体的なものでいうと、判決正本、調停調書正本、審判書正本、公正証書正本で強制執行できる執行文の入ったものが必要です。謄本でなく正本が必要なので注意しましょう。
もし離婚時に話し合いのみで、養育費の取り決めをした書類がない場合は、裁判所に養育費に関してのみの調停、または訴訟を行う必要がでてきます。そうならないためにも、協議離婚の際は、せめて公正証書は作成することをお勧めします。
必要書類を集め、裁判所が申し立てをオッケーしてくれれば、差し押さえが執行されます。しかし、差し押さえた財産を裁判所が回収して、すぐに当事者に渡してくれるわけではありません。あくまでも、会社や銀行などに支払わないでくださいと裁判所の命令が届きます。
その後、相手方に、裁判所か差し押さえをしたとの通知が届き、その通知が届いてから1週間経過しても支払いがされない場合、自分で会社や銀行等に連絡し取り立てを行うこととなります。取り立てが終了したら、取立届を裁判所に提出します。
養育費の差し押さえを執行するための心構え
養育費の差し押さえの執行手続きについて具体的な方法について前述しましたが、執行するために何よりも大切なことは、決してあきらめないことです。
養育費を振り込まない人は、少なからず何とか逃れようとする人もいます。資産を持たないようにしたり、仕事もしていないようにしていたり、銀行の口座にお金は残しておかなかったりなど、あげだしたらきりがありません。そんな男性から養育費を確保するためには、決して折れてはいけません。
養育費は義務です。それにもかかわらず、支払いを拒むなんて許されないことだと、心に言いきかせてください。
また、相手がいろいろと対処する前に、早めに強制執行するようにしましょう。後回ししてもいいことはありません。支払いが滞っている時点で、養育費の一括請求が可能となるので、毎月振り込まれるだろかのストレスもなくなります。強制執行の条件が整った時点ですぐに手続きに移るようにしましょう。
子供の未来のためにも、「諦めず」「迅速に」を心がけましょう。
まとめ
養育費の差し押さえについて知ろう(後編)
養育費の差し押さえの手続き方法
養育費の差し押さえを執行するための心構え