「養育費を決める場合の基準と計算方法は?(前編)」では、養育費の支払い状況や養育費の支払いを確実なものにするための公正証書についてご説明致しました。後編では、養育費算定表の見方や 養育費 の 計算 方法についてご説明致します。
養育費は、子どものためのお金です。しっかり支払ってもらいましょう。
養育費を決める場合の基準と計算方法は?(後編)
養育費算定表の見方と養育費の計算方法
養育費の金額は、2003年以前は夫婦の年収・資産・子どもの人数・生活費の実態・婚姻期間・破綻に至った経緯など、総合的に判断して決められていました。
ですが、個別の事情を詳細に検討するのは時間がかかり、一方で別居していた場合など養育費はすぐに必要となる定期的なお金です。
そこで、裁判所では2003年にガイドラインとして養育費算定表を公表しました。(参考:家庭裁判所HPより)
算定表では、夫と妻のそれぞれの年収がわかれば誰でも簡単に養育費の目安を知ることができます。
現在では、裁判所での調書や裁判でも、この算定表を基本として金額が決められているのが一般的です。これから具体的な算定表の見方と計算方法をご説明します。
まずは、子どもの人数・年齢で使用する算定表を選びます。次に夫と妻の年収を縦軸と横軸で選びます。(負担する側は縦軸)夫婦の年収が交差するマス目の金額が目安となる金額になり、最終的な金額を決定します。縦軸は義務者(負担する側)、横軸は権利者(子どもを育てている側)です。
年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票に記載されている『支払金額(税金控除前)』の欄の金額、自営業者の場合、確定申告書の『課税される所得金額』の欄の金額になります。
また目安金額は、濃いゾーンと白のゾーンを交互に入れて区別され同じゾーンは同じ金額になります。資料は裁判所の養育費算定表をご覧下さい。(参考:家庭裁判所HPより)
例えば、年収400万円のサラリーマンの相手と3歳の子ども1人を連れて離婚した場合、本人の年収が100万円くらいまでなら2万円~4万円が養育費の目安です。また養育費には子どもの小遣いやお稽古事、塾の費用などは含まれません。
子どもの年齢については0歳~14歳と15歳~19歳の2区分があり、子どもの人数(1人~3人)と組み合わせると9種類の早見表があります。
年齢区分が2種類あるのは、子どもが大きくなると学費など費用が多くかかるためです。以上のように養育費は長期間の支払いですから、養育費算定表を参考にし計算した上で、金額を決め、取り決めをすることが重要です。
子どもと会っていると養育費を支払う率がアップする?
離婚時に、養育費の計算をしきちんと取り決めをしても、実際に養育費を受け取っているのは2割から3割といわれる養育費。本来子どものための養育費をきちんと確保する方法はないのでしょうか?これに関して、家庭裁判所調査官の研究に、興味深い結果が出ています。
養育費を負担する側の親が子どもとスムーズに会っているケースほど、養育費を支払う確率が高くなっているというのです。
子どもを引き取った側が、別れた相手と子どもの面会を、頑なに拒み続けるというケースはよくあります。ですが、子どもにとっては別れても親ですし、相手にとっても血を分けた子どもであることに変わりありません。
ですから、子どものために意地を捨て、大きな気持ちで相手と子どもの面会を認めることも大切です。相手の方も、会わなければ子どもへの愛情も日々うとくなりがちですが、実際に顔を見て成長を感じることで、子どもに何かしてあげたいという気持ちになるのが親心です。
養育費とは、本来子どものためのお金です。養育費を取り決めるときに、養育費算定表は基準になりますが、養育費の計算に必要な参考資料です。子どもが健やかに育つためのお金である養育費は、他のお金の問題には換えられないかけがえのない大切なものです。
まとめ
養育費を決める場合の基準と計算方法は?(後編)
養育費算定表の見方と養育費の計算方法
子どもと会っていると養育費を支払う率がアップする?