3組に1組が離婚し、ひとり親世帯の相対的貧困率が50%以上にも及ぶ現代日本において、養育費はひとり親世帯にとって必要不可欠です。が、 養育費 受給率は2割にも達しません。
そして、ただでさえ受給率が低いにもかかわらず、更に 減額 請求する人がいる?と頭を傾げたくなる現実があります。
養育費の減額請求をする離別父親は、まだマシな部類です(前編)
母子世帯のそもそもの現状
※この記事では、2011年時点でひとり親世帯の85%を占める母子世帯に焦点を当てていきます。
平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によれば、母子世帯になった80.8%が離婚によるもので、その際の母親の平均年齢は32.3歳であり、末子の平均年齢は4.5歳です。
このうち、就業率は81.2%ですが、半数以上が非正規雇用です。もちろん好き好んで非正規雇用になっているわけではなく、30歳を超え、幼児を抱えている場合、正規雇用される可能性が現日本において、極めて低い結果です。
よって必然的に年収が低くなり、平成25年国民生活基礎調査によると、ひとり親世帯の相対的貧困率(2012年)は、54.6%にものぼります。
国からの手当だけでは、どう足掻いても赤字になってしまう生活費
では、ひとり親家庭が国から受給できる児童扶養手当は、いくらなのでしょうか。満額受給で1か月に第一子42,000円、第二子5,000円、第三子以降3,000円です。(※まだ改正案は成立していませんので、ここでは2016年2月時点の数値を扱います。)
3人子どもがいる場合、これに960万円未満という高い所得制限がかかった全世帯が受給できる児童手当の35,000円を加算すると、子供の年齢にもよりますが満額受給で合計85,000円になります。
さて、総務省の家計調査報告(二人以上の世帯)平成27年12月分速報を見ると、1カ月の消費支出は、1世帯当たり 318,254円になります。ここから手当を引いたとしましょう。233,254円になります。
母子世帯で非正規雇用の平均就労年収は、125万円です。これを12か月で割ると、104,166円です。差引129,088円の赤字になります。
2割に満たない養育費の受給状況
このような状況下で、養育費の受給率は19.7%であり、子供3名の場合の1か月の平均月額は54,357円です。これでは先述した赤字部分を埋められません。
受給率の更に細やかな内訳を見ると、4年以上継続的に養育費を受給できている世帯はたったの15.6%であり、養育費を一度も受けたことがない母子世帯は60.6%にものぼります。ひとり親世帯の半数以上が貧困層に該当してしまう現実は、数字から見ると、もはや必然です。
まとめ
養育費の減額請求をする離別父親は、まだマシな部類です(前編)
母子世帯のそもそもの現状
国からの手当だけでは、どう足掻いても赤字になってしまう生活費
2割に満たない養育費の受給状況