「養育費はそもそも誰のためのお金?(前編)」では、養育費は子供に請求権があるというご説明を致しました。仮に母親が子どもを育て、父親から 養育費 を受け取らない約束をしても、子どもの請求権は失われません。本来は子どもの権利であることを理由に、改めて請求することができます。
後編では、養育費の額の基準や支払い方法についてご説明致しますが、養育費をもらっていない場合は、子どもの将来のために改めて請求してみてはいかがでしょうか?
養育費はそもそも誰のためのお金?(後編)
養育費の額の基準や支払い方法は?
慰謝料や財産分与などは、一括で支払いするのが原則です。ですが養育費の場合は、毎月かかってくる費用になりますから一時的ではなく、一定期間、一定の金額を支払うものになります。
ただし、将来の支払いに不安があるなどの事情がある場合など、負担する側の同意があれば、一時金で請求する方がいい場合もあります。
養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準によって異なります。金額は一概にいえませんが、具体的に決めておかないと後々トラブルの元になります。
養育費の負担には合意したものの、際限のない額を請求されても困りますし、子どものためという名目で要求された場合断りづらくなります。話し合いの時の目安として、裁判所が早見表を示しています。
例えば、年収450万円の相手と幼児1人を連れて別居した人の場合、本人の収入が100万円くらいまでなら4万円~6万円、100万円超なら2万円~4万円が養育費の目安です。夫・妻それぞれの収入のバランスに応じて養育費を決めることが基本的な考え方になります。
養育費の額は変更できないの?
養育費は、子供が成人するまでの長い期間の支払いになりますから、時が経つと事情が大きく変わることがあります。子供の成長に合わせて学費が増え、公立校か私立校かによっても費用は大きく変わります。
もし受け取る側が失業して収入が減った場合など、養育費の増額を望むこともあるかもしれません。反対に、養育費の変更は増額だけではなく、減額の希望もあります。会社の倒産・失業などで収入が減り、養育費を負担する側が余裕がなくなることもあるからです。
また受け取る側の配偶者が再婚し、新たな伴侶の扶養となり経済的な余裕があるようなら、養育費を負担する側は減額してもらいたいと思うでしょう。逆に、負担する側が再婚して新たな家族をもち費用がかかるようになった場合も、養育費の軽減を望むことがあるかもしれません。
基本的には、離婚時に取り決めた養育費の額や支払い期間は、変更することはできません。ですが、経済的な事情が離婚時と大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められることがあります。
話し合いで合意ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し出ることができます。正当な理由であれば、養育費の変更は認められる可能性は高くなります。
なお、どちらが再婚しても養育費の負担義務は消えませんが、子供を養育している側の再婚相手と子供が養子縁組をしたり、養育費を負担している側が再婚相手との間に子供ができた場合などは減額が認められる可能性があります。
まとめ
養育費はそもそも誰のためのお金?(後編)
養育費の額の基準や支払い方法は?
養育費の額は変更できないの?