いざ離婚!となると必ず関わってくることに「氏」をどうするかという問題があります。子どもも一緒に戸籍を離れる場合や、婚姻中の氏のまま変えたくない場合などいろいろなケースがありますが、戸籍法では婚姻中の姓か婚姻前の 氏 を選べるようになっています。
実は選べる?!新姓旧姓!離婚にまつわる氏のハナシ
そもそも「氏」ってなに?
「氏」は古来より家柄や家系のことを示す言葉です。日本では150年ほど前に全ての国民を記載した戸籍をつくることになり、そこで初めて全ての国民が名字(苗字)を持つことになり今に至ります。
当時の政府は国民全てを戸籍に記載するためにいろいろな制度の改変をおこなっています。それまでは一部の人達だけが名字(苗字)と氏(姓)とを名乗っていましたが大変ややこしい表記方法になってます。
たとえば「徳川家康」の場合、実名は「源朝臣家康」で、源を自称していたので「源」が氏、「朝臣」が姓、「家康」が名となります。
これを事務処理するのは大変困難なので、これを機に「氏」と「姓」は名字(苗字)として一元化されます。そして現代では、氏は家(家族)や家系を表す法律上の名称となっています。
婚姻と戸籍
結婚する時には、夫婦どちらかの姓を選んで新戸籍をつくります。離婚する時には夫婦どちらか、「結婚する時に名字が変わったほう」の人が婚姻中の戸籍から除籍され、新たな戸籍を作るか親の戸籍に戻るかを選択します。
ただし子どもがいて、除籍する側の人が引き取る場合には、親(子どもから見て祖父母)の戸籍には戻れず新戸籍をつくる必要があります。これは戸籍法で、ひとつの戸籍に入るのは親と子のみと決まっているからです。
どちらの名字を名乗りますか?
離婚時、除籍する側の人は婚姻中の名字か婚姻前の名字から選べます。子どもを引き取る場合には子どもの都合もありますし、仕事など社会的な都合もあり、選択にはいろいろなケースがあります。
婚姻前の姓に一度は戻しても、3カ月以内に届け出をすれば婚姻中の名字に再度戻すこともできます。この期間を過ぎると、やむを得ない理由がない場合の変更は認められなくなります。
それは嫌かも…名字が戻せないケース
婚姻前の姓に戻さないまま離婚を重ねると名字が戻せなくなります。
たとえば「鈴木A子さん」という方がいたとします。
一回目の結婚で「佐々木A子さん」になりその後離婚しましたが、名字は戻さず「佐々木A子さん」のまま、しばらくして再婚して「木村A子さん」になりました。
「木村A子さん」残念ながら2回目の離婚をすることになり、元々の「鈴木A子」に戻したいと思いましたが、1つ前の名字までしか戻せないと法律で決まっているのでこの場合は最初の結婚時の名字「佐々木」か2回目の婚姻の「木村」しか選べなくなります。
こういう事例も踏まえて、最良の選択肢を見つけていただけたらと思います。
子どもの氏のハナシ
子どもがいる世帯の離婚の場合は、子どもの氏についても離婚時に決める必要があります。
まず、子どもが離婚後も婚姻中の戸籍に残る場合は名字も婚姻中のまま何も変わりません。たとえば「両親が離婚して母親だけが家を出る」といった、戸籍から除籍した人だけの移動がこれに該当します。
除籍する側の親と一緒に子どもも除籍する場合、両親のうちどちらか除籍する方が作る新戸籍に子どもを入れるためには、まず離婚成立後に裁判所で「子の氏の変更許可申し立て」をして新戸籍の名字に変更の許可を受けます。
だいたい2週間ほどで申請が受理されるので、許可が出たらその書類を持って役場に行き新戸籍に入れる手続きをします。
盲点!氏が変わると大変なコト
氏が変わると即座に手続きが必要なものに、銀行口座や運転免許証があります。離婚や引っ越しにまつわる各種手続きにはいちいち身分証明書が必要になりますので、離婚成立後はできるだけ早く警察署で運転免許証への変更手続きをすることをおすすめします。
まとめ
実は選べる?!新姓旧姓!離婚にまつわる氏のハナシ
そもそも「氏」ってなに?
婚姻と戸籍
どちらの名字を名乗りますか?
それは嫌かも…名字が戻せないケース
子どもの氏のハナシ
盲点!氏が変わると大変なコト