借金まみれのひどい夫と結婚をしてしまって、離婚をすることになりました。離婚をしたら、夫婦は他人に戻るので、きれいさっぱり借金ともおさらばということになります。
しかし、夫が内緒で連帯保証人にしていたとか、子供が夫の借金を相続してしまったとか、トラブルが起きる可能性はあります。ここでは、そんなときに役に立つかもしれない 借金 の 時効 援用 について解説します。
離婚をしたら知っておくべき!借金の時効援用の知識
離婚をしても借金がついてくるケース
日本では夫婦別財産制がとられていますので、夫の借金は妻のもの、妻の借金は夫のものとはなりません。ところが、共有財産については、夫婦共同で負担をするものと考えられています。
たとえば、妻が子供の教育のため、生活のためにした借金は、たとえ妻だけの名義になっていても、離婚のときに財産分与の対象となります。
夫名義で借りた住宅ローンについても、離婚のときには財産分与の対象となります。しかし、一度財産分与をして、財産をわけてしまったら、後はお互いの財産に関与することはなくなります。
妻が教育ローンを500万円組んでいたとしても、離婚のときに半分の250万円を夫から受け取ったなら、教育ローンはすべて妻が返済していかなければなりません。
離婚のときに財産分与をしなかった場合でも、金融機関にはそのような事情は無関係ですので、全額を請求されてしまうことには注意が必要です。
離婚をしても借金がついてくるケースというのは、住宅ローンを夫婦共同名義で借りていた場合などです。夫の住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者に妻がなっていた場合などがこれにあたります。
また、夫が内緒で妻の印鑑を持ち出して、妻を連帯保証人にしていた場合には、詐欺・偽造行為ですので、法律的には妻に責任はありません。しかし、それを証明する必要がありますので、まずは弁護士などの専門家に相談をしましょう。
借金の時効援用とは
銀行や消費者金融などからの借金は5年、個人からの借金は10年で時効にかかります。金融機関もプロですので、基本的には時効にかからせるようなことはしません。
裁判をすれば時効はリセットされて、さらに10年にまで延長されます。また、借金の承諾をしたり、1円でも返済してしまえば時効はリセットされてしまいます。
5年以上前に別れた夫の借金などは、時効にかかっている可能性もありますので、安易に承認をしたり、1円でも返済してはいけません。
「100円でもいいので返済をしてくれたら、利息をなしにしますよ」などと言って、時効をリセットさせようとするという手口もあります。
子供が借金を相続してしまったら
離婚をしたら夫婦は他人同士になりますが、子供との関係は切れません。別れた旦那が死亡したら、子供は元夫の財産を相続します。ここで、財産の総額がプラスならばなにも問題はないかもしれません。
しかし、中には多額の借金を残して死亡してしまうというケースもあります。子供が元夫の借金を相続してしまったからといって、あわてて返済するのは待ったほうがよいです。
相続では、死亡した人の権利・義務を包括的に承継するので、分割払いの権利や、時効の権利なども承継しています。借金が時効にかかっているのに1円でも返済してしまったら、借金の時効がリセットされてしまいます。
なお、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内なら家庭裁判所に届け出をすることで相続放棄や限定承認ができることも覚えておきましょう。
時効は援用しないと権利を主張できない
いっさい返済をせず、裁判も起こされずに5年もしくは10年が経過しても、自動的に債務が消滅するわけではありません。時効にかかったら、援用をしないと債権者に対して対抗できません。
例えば、15年が経過していて、とっくに時効にかかっていたとします。安心していましたが、債権者から「借金はもう時効ですけど、良心があるのなら100円でも払ってください」といわれて、100円を支払ってしまったら、時効はリセットされてしまいます。
時効がきても、援用をしていなければ債務は消滅していませんので、本人が承認することでいつでも復活してしまいます。
まとめ
離婚をしたら知っておくべき!借金の時効援用の知識
離婚をしても借金がついてくるケース
借金の時効援用とは
子供が借金を相続してしまったら
時効は援用しないと権利を主張できない