未成年の子どもがいる家庭の場合、離婚のときには「親権」ついても話し合ったはずです。その場の流れ、感情で決めてはいけません。その後の環境の変化から、変更を求める方もいるでしょう。離婚後に 親権 を 変更 するには一定の条件と、手続きが必要になりますので注意してください。
離婚したあとに親権を変更す方法は?
変更の目的
親権の変更とは、親のためにするものではなく、その子どもの将来のためにするものです。親の話し合いのみで親権がころころ変わってしまうことは、子どものためを考えると良くありません。そこで、離婚後に親権を変更するためには家庭裁判所の手続が必要としています。
両者が親権の変更に合意しているとしても、離婚協議書に「子どもが8歳になったら親権を変更する」と記載したとしても家庭裁判所の手続を経なければ変更はできません。
親権を変更するには、親権変更調停という手続きを行います。この申立てはあくまで親権者に対してするものであり、子どもに対して申立てるものではありません。
これより、変更の条件や手順をみていきましょう。
変更の条件
まず言っておきたいのは条件を全て満たしても、所定の手続きを踏んでも、必ず親権の変更ができるとは限らないということです。むしろ親権の変更すること自体、狭き門であると考えた方が良いでしょう。
例としては、「親権者が子どもの世話をしていない」、「親権者が子どもを虐待している」、「親権者が失業している」、「親権者が死亡した」、「親権者が服役中である」というような場合に認められています。
共通しているのは養育環境の悪化ですが、それだけでは足りない可能性が高いでしょう。現状の親権者の養育環境が悪化した上で、かつ、変更した方が子どもの将来にとって有益であることが必要なのです。
もし相手が親権の変更に合意しない場合は、「現状の親権者の養育環境が悪化」と「変更した方が子どもの将来にとって有益である」ことを何らかの形で証明し、調停委員と裁判官にその内容を認めてもらわなければなりません。離婚後に親権を争う難しさが想像できるはずです。
有責配偶者であっても親権の変更を申立てはできます。有責配偶者とは、離婚に至る原因を作った者のことです。浮気・不倫・借金・失業など、離婚に至った原因はさまざまでしょうが、親権は別な問題として捉えるのが通常です。
子どもの将来にとって有益かどうかで判断しますので、有責配偶者だから親権者として資格がないとは言い切れません。
変更の手順
親権変更調停は、原則的には相手の住居地にある家庭裁判所に申立てます。ここからの手順は離婚調停とあまり変わりません。申立てに必要な費用としては、子ども1人につき1,200円の収入印紙と連絡用の郵便切手です。
申立ての後、家庭裁判所から連絡がありますので1回目の調停期日を決めます。それから話がまとまるまで2回、3回と調停を行います。
子どもの意思も重要なものになります。裁判所は子どもの意思を重視し、子どもの年齢が15歳以上であれば意見を聞かなければならないことになっていますが、最近では15歳以下の場合でも意見を聞くことがあるようです。
話がまとまらずに調停が不成立になった場合には、審判手続が開始されます。裁判官が両者の事情を考慮して、どちらが親権者としてふさわしいか審判をすることになります。
調停が成立し親権者の変更が認められた場合、新たに親権者になった者は調停が成立した日から10日以内に市区町村の役場に親権者変更の届出をしなければなりません。
変更を求める側の条件
子どもの健全な成長のためには、いずれの親に育てられた方が良いか見ます。
変更の目的でも説明したように、「現状の親権者の養育環境が悪化」と「変更した方が子どもの将来にとって有益である」ことを何らかの形で証明し、調停委員と裁判官にその内容を認めてもらわなければなりません。
変更を求められたら
申立てられた方の事情が考慮されますので、基本的に養育環境が悪化していなければ変更はないでしょう。
住居・食事の環境はどうか、子どもに対する愛情の程度はどうか、健康であるかどうか(精神疾患や重病を抱えていないか)についても見られることになります。
まとめ
離婚したあとに親権者を変更する方法は?
変更の目的
変更の条件
変更の手順
変更を求める側の条件
変更を求められたら