「離婚における債権とは何か?債権回収に迫る(前編)」では、なぜ離婚をしても養育費を受け取れないのか、その内情についてご説明いたしました。後編では、養育費などが不払いになった際に差し押さえのできる財産についてご説明いたします。
債権 回収 とは 、いったいどのようなものなのでしょうか。
離婚にかかわる債務名義について(後編)
差し押さえられる財産とその特徴
差し押さえられる財産は、不動産(土地、建物、マンションなど)、預貯金、給与、自動車、生命保険解約返戻金、動産(貴重品や骨とう品、ブランド品など)です。
不動産ですが、これは一番確実に回収できるうえ、価格も高いので、不動産から債権回収を検討します。土地の探し方は3つ。
思い当たる土地の登記簿謄本をとる方法、固定資産課税台帳を閲覧する方法、固定資産税の請求書をコピーする方法です。
このほかにも、相続財産の中に不動産がある場合や差押回避のために安値で親族や知人に譲渡している場合は差押えできる可能性があります。ただしローンを組んでいて、残りの借金が不動産の価値よりも大きいオーバーローンの状態だと回収ができません。
預貯金ですが、銀行に預金がある場合、銀行名と支店名の特定ができれば差し押さえが可能です。しかし銀行さえわからない場合は調査会社に頼んだり、「弁護士会照会」という方法を使ったりするのですが、かなりの出費を覚悟しなくてはなりません。
ちなみに「弁護士会照会」は1件あたり8千円強の手数料がかかります。やはり銀行名と支店名は必要です。また、預貯金を確実に差し押さえるなら給料日を選び、口座に入金された直後に裁判所から銀行へ通知がいくように依頼するということもできます。
給与ですが、差し押えは一度申し立てて認められれば、債権の全額回収も夢ではありません。ただし相手の性格によっては、逆恨みされたり、お金を払いたくないという一心で会社を辞めて姿を消したりするような人もいますので、相手に気取られぬよう、一度で差し押さえてしまうのが得策です。
自動車ですが、強制執行をするには、自動車がある場所に行って執行官が現物をおさえなくてはいけません。しかしいざ向かったら、自動車がなかったなんてことも結構多く、そのわりに、自動車の強制執行は1回数万円と高いのです。
さらにローンを組んでいる場合は完済していないと差し押さえができず、完済後の自動車は価値が下がってしまうことがほとんどです。そのため外国車や高級国産車でないと費用倒れになってしまうので、差し押えは難しいようです。
生命保険解約返戻金は、生命保険契約を解釈した場合に保険会社から戻ってくるお金のことです。解約返戻金は保険契約によって、ある場合とない場合とがあります。
ある場合でも昔からある掛け金の高いものでしたら返戻金も多いのですが、最近の掛け金の低いものなら返戻金も少額です。
もし生命保険契約の有無や解約返戻金の金額を調べたいのなら、弁護士に依頼して弁護士会照会という方法で調べることができます。なお銀行とは違い、一つの申し立てで大方の保険会社が回答をくれるので、かかる金額は8千円プラス弁護士への報酬数万円になります。
動産ですが、これは「差押禁止財産」というものが決められていることと、競売で売れないと意味がないこと、そして現金も66万円までは差押不可ということから個人に対する動産執行の場合、宝飾品、高級腕時計、ブランド品、骨とう品などに限られます。
まとめ
離婚における債権とは何か?債権回収に迫る(後編)
差し押さえられる財産とその特徴