未成年の子供が1人いる夫妻が離婚して、妻が子供を引き取った場合、妻は債権者で、夫は債務者になります。この場合の 債権 とは 、養育費などを請求する権利になります。
しかし日本ではほとんどの債務者が、離婚後、養育費などを払わなくなるか、もしくは全く払いません。どうしてなのでしょうか。
離婚における債権とは何か?債権回収に迫る(前編)
なぜ離婚しても養育費を受け取れないのか
日本は協議離婚がほとんどで、さらに離婚の際に決めた事を文書にしていないというパターンがほとんどで、養育費をきちんと支払われている母子家庭は全体のわずか19%だそうです。
日本の場合、自分に認められた権利自体知らなかったり、権利を主張することで反感を買ったりすることが多いうえに、慣れない離婚の手続きでへとへとになってしまうことから、最初から養育費を請求することをあきらめてしまうことが多いのだそうです。
しかし、ここはひとつ冷静に考えましょう。たとえば養育費が月5万円で、支払い期間が10年だった場合、結構な額を逃すことになります。5万円×12ヶ月×10年=600万円。ここは子どものためにどうしても勝ち取りたいものです。
扶養に関する債権は離婚後の「養育費」だけでなく、別居中の「婚姻費分担金」、親子間・親族間の「扶養料」もあります。ただし、これらを確実に受け取るためには、差し押えやその他の強制執行を行う必要があります。それを可能にするには「債務名義」が必要です。
離婚にかかわる債務名義について
離婚にかかわる主な債務名義は、「確定判決」、「裁判所の和解調書」、「調停調書」、「認諾調書」、「公正証書(執行証書)」、の5つになります。
「確定判決」は裁判所に支払い請求の訴訟を起こしてその裁判が確定した時に、その判決が債務名義になります。
また、離婚訴訟中に和解した時に裁判の内容を記載した「裁判所の和解調書」や、調停が成立したときに調停内容を記載する「調停調書」、裁判中に被告(訴訟を起こされた側)が原告(訴訟を起こした側)の言い分を全面的に受け入れて離婚が成立したときに認諾内容を記載する「認諾調書」、協議離婚の場合に合意した内容を記載する「公正証書(執行証書)=執行認諾付公正証書」は、確定判決と同一の効力を与えられ、債務名義になります。
ただし公正証書(執行証書)が執行できるのは、金銭と有価証券の一部だけです。これらの債務名義は、差押えやその他の強制執行を行うために必要ですが、実際不払いになった場合、債権を回収しなくてはなりません。
では具体的にはどのようなものを差し押さえたり、強制執行をかけたりするのでしょうか。
まとめ
離婚における債権とは何か?債権回収に迫る(前編)
なぜ離婚しても養育費を受け取れないのか
離婚にかかわる債務名義について