離婚をするときに債権譲渡という手続きがされることがあります。債権譲渡とは、その名の通り債権を譲渡することです。財産分与のときに夫から債権を譲渡してもらうケースや、慰謝料債権などを金融屋に譲渡するケースなどが考えられます。
ここでは離婚における 債権譲渡 について知っておくべき知識を解説します。
離婚で債権譲渡が問題になることがある?
財産分与としての債権譲渡
債権譲渡とは、とある人が所有している債権を別の人に譲渡することです。譲渡をするときには債務者の同意は必要なく、債権を譲渡する側と受け取る側の同意があれば足ります。
企業間の取引などで行われる手続きであり、個人の間で債権譲渡がされるということはあまり聞きません。
しかし、例えば夫が自営業をしているケースで、大量の売掛金を持っていたとします。離婚をするときには婚姻中に夫が稼いだ給料の半分は妻の取り分となりますから、財産分与で売掛金の半分をもらうことがあるかもしれません。
夫が自営業をしていて、貯金を500万円、売掛金を500万円持っていて半分ずつに財産分与するケースなら、貯金の500万円を妻が受け取ればよいでしょう。しかし、貯金が100万円、売掛金が900万円のケースですと、その時点で受け取れるのは100万円だけです。
このようなケースでは、売掛金債権のうち400万円を妻に譲渡することが考えられます。これは方法の1つであり、実際には売掛金を実際に回収できた時点で400万円を妻に支払うことのほうが多いでしょう。
債権は100%回収できるものではない
離婚時の財産分与で、400万円分の売掛金債権を旦那から譲渡されたとします。しかし、この400万円は100%回収できるものではないということに注意が必要です。例えば、現在が5月で、売掛金の回収予定が8月だったとします。
普通に考えれば、8月には400万円が取引先から支払われるわけですが、その取引先が8月の時点で倒産してしまっていたとします。すると、その売掛金は回収できないことになります。倒産した企業にわずかでも資金があれば、何割かは回収できることがあります。
このように、売掛金は必ず回収できるものではないため、離婚時の財産分与で売掛金債権の譲渡が行われることはあまりないようです。
お金に困った!慰謝料債権を金融屋などに譲渡できる?
夫の不倫などが原因で離婚をした場合、慰謝料をもらうことができます。離婚時に元夫が元妻に慰謝料を200万円支払うという取り決めをしたとします。しかし、元夫に貯金がなかったため、分割で毎月5万円ずつ支払う約束をしました。
この場合、元妻は200万円の慰謝料債権を持っていることになります。毎月5万円ずつをもらうだけでは生活費として足りなかったので、債権を金融屋などに譲渡してすぐに200万円を手に入れたいと考えました。このようなことは可能でしょうか?
結論から言うと、絶対にできないというわけではないですが、やめておいたほうが無難です。先述したように、債権は100%回収できるものではありません。元夫が失業をして、支払いができなくなったらどうしようもなくなります。
夫の不法行為の悪質度合いにもよりますが、自己破産をして慰謝料の義務から合法的に逃れられてしまう場合もあります。そのため、まともな金融機関はこのような債権を買取るようなことはしません。
しかし、例えば元夫の親などと交渉をして、慰謝料債権を元夫の親に譲り渡し、親からすぐに200万円の支払いを受けるということはできます。
この場合、元夫の親が同意しているだけで契約は成立します。元夫の親が理解のある人であり、お金を持っている場合には交渉してみるのもよいかもしれません。
最後に
債権譲渡というのはあまり素人には無縁のものです。知識のない素人が債権をもらったり、債権を譲渡するという話では、だまされたり失敗してしまう可能性も高いです。
債権は100%回収できるものではありませんので、信用のない企業や人間に対する債権を譲渡されてしまう可能性もあります。
離婚時に債権譲渡という話が出てきたら、注意をしておき、なるべく現金でお金をもらうようにしたほうがよいでしょう。
まとめ
離婚で債権譲渡が問題になることがある?
財産分与としての債権譲渡
債権は100%回収できるものではない
お金に困った!慰謝料債権を金融屋などに譲渡できる?
最後に