「離婚届の証人を頼むとき・頼まれたとき(前編)」では、もし離婚届の証人を頼まれたら?という観点でご説明致しましたが、後編ではもし離婚届の証人を頼むとしたらという観点でご説明いたします。そもそもなぜ、 離婚届 には 証人 というものが法的に必要なのでしょうか?
離婚届の証人を頼むとき・頼まれたとき(後編)
あなたが頼むとしたら?
こんなにも悩ましい「離婚届の証人」ですが、もし、あなたが離婚を目の前にして、誰かに頼むとしたら、誰に頼みますか?頼まれたときのことを想像すると、おいそれとは頼めなくなるのではないでしょうか?
まず、第一に「なぜ離婚に至ったか?」と言う、面倒臭い話をしなければなりません。話の道中に時々「私なんてどれだけ我慢しているか?」や「結婚生活における忍耐の尊さ」などのご高説も賜りながらです。考えただけで煩わしい時間に辟易とします。
みなさんと同じように感じている人は少なくありません。世の中には離婚届の証人を紹介するビジネスもあるようです。ネットでも簡単に見つかります。成人していて本籍も住所もある方々が、見も知らずの別れたい夫婦の為にひと肌脱いでくれます。
費用は数千円、「2名で5千円」と言う広告も見かけました。離婚自体を知られたくない人や、その後の人付き合いにおいて微妙な関係になりそうだと予想する人には、手軽でありがたいビジネスと言えます。万が一、そんな状況になったときには強い味方になってくれそうです。
証人っていうけど何を「証」する人?
頼まれても困る、頼むにも困る離婚届の証人…。それほどまでに悩ましい程の「署名・捺印」をすると、その後どんな責任があるのでしょうか? 答えは「一切、何もありません!」
驚くほどに何もありません。法的な拘束力も責任も何もありません。ただ名前があるだけです。「その人が実在するか?」「ホントにこの二人は分かれるのか?」などの身元確認もありませんし、その後、再婚しようが、養育費の支払いを求めて裁判になろうが、全く関係ありません。
その日その時に於いて、「両者離婚する意思があることを知っています」と言うサインです。「単に手続き上の必須要件…」こう考えると少しは気が楽になったでしょうか?
もう一つ付け加えると、20代~60代の離婚経験ある男女に「離婚して後悔しているか?」質問したところ「後悔している」と答えたのは全体の10%に満たない少数派でした。図らずとも引き受けてしまった方へは、少し勇気づけられるアンケートデータですね。
なぜ「証人」が法的に必要なのか?
これまで離婚届の証人に付いて述べてきましたが、そもそも証人制度が法律で定められているのは何故でしょう?どのような立法趣旨から作られた法律なのでしょう?
法的に「証人」が必要な届け出は結婚、離婚、養子縁組、養子離縁の4つです。これらに共通するのは全て「身分の変更」に関する届け出だと言うことです。身分の変更に伴い遺産が配分されたり、借金を引き継いだりと、とても重要な届け出であることには間違いありません。
ですが、それよりも何よりも「本人の意思」が、これらの届け出には大切であると言うことが、立法趣旨と考えられます。
身分変更に伴う届けですから考えようによっては、もっと厳格な証明や証人が必要なのでは?と捉えることも出来ます。「10億の遺産をめぐる養子縁組とか、証人二名じゃ少なくないですか?」と聞かれると一理あるように思えます。
何の法的な拘束力も義務も生じない証人ですが、こう考えると大いに意味のある制度と言えます。頼まれると少し困ってしまう離婚届の証人ですが、客観的な視線で二人の意志を確認する使命を持っています。
どうせなら「離婚して良かった!」と言わせる証人を目指して話を聞いてみては如何ですか? そして頼むときも、面倒臭がらず、有意義な離婚を一生懸命語りましょう!
もしかして…、この証人制度、誠実に離婚に向き合うところにホントの趣旨があったのかも知れません。
まとめ
離婚届の証人を頼むとき・頼まれたとき(後編)
あなたが頼むとしたら?
証人っていうけど何を「証」する人?
なぜ「証人」が法的に必要なのか?