離婚裁判 をした方、つまり裁判で最終的な判断に至った場合、どのような 判例 があるかを3つ紹介します。しかし、同じ条件・環境・請求内容の方はいませんし、似たような内容だからといって同じ判決がくだされるとも限りません。ご参考までにご利用ください。
裁判で離婚した方の判例を3つ紹介
判例とは何か
そもそも、判例という言葉についてあまり知らない方もいるのではないでしょうか。ある争いについて裁判すると、争いについて裁判官が判決をくだします。これが「判例」となり、この後に似たような内容で争いが起こった場合に、前回の判決を参考にして考えます。
判例とは、ときに法律と同等の拘束力を持ちます。なぜ判例がこれほど重要視されるのか、それは将来に向かって遵守される規範として創造されるものだからです。簡単に言うと、「裁判所が言ったことがコロコロ変わると不平等が生じるので、基本的に守りましょう」ということです。
最高裁判所で出された判決は特に強い意味合いを持ちます。議論が繰り返され、判決が繰り返されて出されたものですから、簡単にひっくり返すことはできません。
しかし時代は変化しますので、時代によって解釈も変化せざるを得ません。裁判官とは前世代の考えを引き継ぎ、後世代に考えを残す役割を果たしているのです。
ケース① 性格の不一致
夫婦間の性格の不一致が離婚原因になっているケースは非常に多いです。離婚が認められたケース、離婚が認められなかったケース、どちらの判例もあります。他のサイトやリンクページも一様に同じことを言っていますが、性格の不一致を理由として離婚することは非常に困難です。
協議離婚や調停離婚であれば、性格の不一致を話し合う余地があるでしょう。離婚事由の1つとして性格の不一致が記載されていますが、裁判で争うには抽象的過ぎるので具体性に欠けます。
性格が合わないだけで離婚を認めてしまうとキリがありません。具体的に夫婦生活にどのような不具合が生じているのか、なぜ夫婦生活を継続していくのが無理なのかを証明する必要があります。
実際には「婚姻を継続しがたい重大な事由」の中の、他の主張に付属・関連して「性格の不一致」を使用しているようです。
性格の不一致を基とする主張を認めたのは、大阪高等裁判所 平成21年5月26日、東京高裁昭和54年6月21日の判決があります。
ケース② 宗教
宗教活動をする妻に関する、大阪高裁 平成2年12月14日の判例です。
信仰・宗教の違いそのものは離婚理由とはなりません。憲法で信仰・宗教の自由は権利として認められていますので、そのことだけでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」にはなりません。
信仰に没頭し、家事や育児を放棄した結果、共同生活が破綻しているような場合には、それに該当すると判断された例です。
1審では、妻の信仰が夫婦間の亀裂の原因であることを認めながら、夫が寛容さを欠いていたとして離婚は認められませんでした。
しかし控訴審では、妻に自粛する気持ちが感じられないという理由から、同居を再開しても日常生活に支障が出ると判断され、離婚が認められました。
ケース③ 夫婦生活
育児や家事への協力が不十分な夫に対して妻が訴えた、東京地裁 平成15年8月27日の判例です。
夫は育児や家事へ非協力的だったために、妻は夫との婚姻生活に失望して別居を望みました。その後も表面的には夫婦生活を続けていましたが、関係修復の兆しはありません。
妻は夫との婚姻生活が完全に破綻状態になる前に、第三者の男性との間で性的関係を含む交際を始めました。妻は離婚と同時に「財産分与」と「慰謝料」を求めました。
「財産分与」については、妻に婚姻生活の破綻の責任がないと判断され、請求が認められました。
「慰謝料」については、婚姻生活が完全に破綻状態になる前に、第三者の男性との間で性的関係を含む交際を始めたということで妻に落ち度があります。よって、請求は認められませんでした。
まとめ
離婚裁判をした方の判例を3つ紹介します
判例とは何か
ケース① 性格の不一致
ケース② 宗教
ケース③ 夫婦生活