離婚の際に「うつ病」が問題になるケースは2種類あります。まずは離婚に際してお互いが同意できず、調停などでこじれたことがきっかけでうつ病を発症するケース。そして、もう一つは夫婦のどちらかがうつ病になったことを理由に離婚を考える様になるケースです。
離婚 時に うつ病 を発症していると、慰謝料請求や親権などにも関係してきます。しっかり知識を付けて損をしないように準備をしておきましょう。
うつ病と離婚に関する基礎知識
うつ病と離婚の関係
離婚は結婚以上に時間と労力がかかるものです。双方が合意できればいいのですが、二人の話し合いでは折り合いがつかず、離婚問題がこじれたことによってうつ病を発症してしまうケースも少なくありません。
よくあるケースは、配偶者の浮気や不倫が原因でうつ病を発症してしまうというものです。浮気や不倫をした側は少しでも早く離婚を成立させたいと思っていても、相手がうつ病になることで離婚の話もなかなか進まずに、どんどん話がこじれてしまいます。
場合によっては慰謝料を請求される可能性も出てくるため、言動には十分注意しましょう。
相手のうつ病を理由に離婚を考えるケース
うつ病をはじめとする精神病の看病は家族にとって肉体的にも精神的にも負担が多くなります。それだけではなく、夫婦関係をも脅かし、看病する側が離婚を考えるケースも少なくありません。
法律的には「回復の見込みのない強度の精神病」を離婚理由として認めています。ただし、「回復の見込みのない強度の精神病」に該当する病気は躁うつ病や痴呆症などであり、仕事も出来ない状況や、夫婦の義務とされている同居・協力・扶助が難しいと判断されるような場合となります。
うつ病は回復の見込みがある、と判断されて離婚が認められない場合がほとんどです。双方が離婚で合意できるのであればスムーズに離婚できますが、どちらかが応じない場合は話がこじれて時間がかかる可能性が高くなります。
ただし、うつ病を原因としたモラハラやDVなど他の行為に発展している場合は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として別の法的離婚理由として認められるケースもあります。
うつ病と慰謝料請求
離婚の際、相手がうつ病を発症している場合は「慰謝料」を請求されるケースもあります。ただし、慰謝料は離婚時に相手がうつ病だったからといって必ず支払わなければいけないものではありません。
離婚時の慰謝料は、離婚に至る原因を作った配偶者に対して、精神的苦痛を被った相手方が請求することができるものです。浮気やDV、悪意の遺棄など、離婚する原因行為による精神的な苦痛に対してや、離婚すること自体から受ける精神的苦痛に対して慰謝料請求される可能性があります。
ただし、「性格の不一致」を原因とするようなどちらか一方が悪いとは言い切れないようなことが離婚原因の場合は慰謝料の請求も難しくなります。
また、浮気や不倫などの場合も不貞行為前に夫婦関係がすでに破堤していた場合には慰謝料を請求しても認められないケースもあるため、注意が必要です。
うつ病で慰謝料請求する際の相場と注意点
離婚時の慰謝料の相場は100万円~300万円くらいで着地するケースが一般的です。ただし案件によっては50万程度と認定されたり、300万円以上となる場合もあります。
慰謝料の金額は、裁判で認められるような主張と、しっかりと立証ができるかが大切になってきます。ただ単に辛かった事実を話すだけでは説得力に欠けるため、しっかりとした証拠が必要となります。離婚問題をきっかけにうつ病を発症した場合は診断書を準備しておくとよいでしょう。
また、慰謝料の請求には3年という時効があります。原則として離婚が成立後3年を経過すると慰謝料を請求することができなくなってしまいます。ただ、時効の中断という方法もありますので、慰謝料請求権を時効で消滅させないように諦めずに手続きを進めると良いでしょう。
うつ病と親権
うつ病だと親権を取るのが難しい、という話をよく見かけますが、実際はどうなのでしょうか。基本的に子供が幼い場合は、例えうつ病を発症していても親権は母親が持つケースが多く見られます。
ただ、母親が重度のうつ状態で仕事や家事ができなかったり、自殺未遂を起こすなど、精神的に不安定であると判断された場合は父親に親権が認められるケースもあります。
うつ病が親権の判断の際に不利になる場合もあるため、自分の両親と一緒に子供を養育できるような環境を作って親権を主張するなど、対策が必要です。
うつ病と一言で言っても程度は様々です。また、同じような事例でも家庭状況や家族構成などでも判断は変わってきます。
まとめ
うつ病と離婚の関係
相手のうつ病を理由に離婚を考えるケース
うつ病と慰謝料請求
うつ病で慰謝料請求する際の相場と注意点
うつ病と親権