離婚 時に 退職金 がすでに支払われていた場合、 財産分与 は折半で行います。しかし退職金が支払われていなかった場合は、財産分与の対象になるのかどうか、わからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、退職金が支払われていない場合の財産分与についてお話しします。
離婚時にまだ支払われていない退職金も財産分与の対象?!
財産分与として確定する前に確認を!
財産分与に退職金の話があった、もしくは請求された場合、必ず確認するべきことがあります。
それは『勤め先の規定上、退職金制度があるかどうか』『退職までの目安的な期間』の2つです。そもそも、退職金制度がなくては退職金も受け取れませんので、財産分与といった話にはなりません。
そして退職までの期間が、退職金の財産分与に大きく影響するので、必ず確認しましょう。
財産分与の対象外になるケース
財産分与は「離婚時の共有財産」を折半します。
退職までの期間(予定)が10年以上ある場合など、予期せぬこと(退職や会社の倒産など)が起こる可能性があるほど長い期間がある場合は、退職金を確定することは難しいので、原則として財産分与の対象外となります。
注意!退職金が確定していると財産分与の対象になる
対象となってしまうケースとしては、「退職が2年後である」「退職がすでに決まっている」など退職が間近に迫っていて、会社の規則上でも退職金が確定している場合です。この場合、財産分与の対象となります。退職金の算定方法は以下のようになります。
- 22歳から勤め、25歳で結婚後30歳で離婚・退職し、退職金が600万円(仮定会社の規定による)の場合(自己都合退職が確定している場合)
勤続年数8年間のうち、財産分与の対象は結婚してからの勤続年数に対しての退職金のみになるので、結婚前の労働期間3年間を引いた5年間に対する退職金を算出する形になります。
600万円×5年間/8年間=375万円が退職金と判断されます。
- 定年退職でもらう予定の場合
この場合、中間利息(受け取る時までの利息)を控除して計算します。
勤続年数40年間、退職金4,000万円、そのうち結婚期間が30年間の場合、中間利息として、4,000万円×30年間/40年間=3,000万円が財産分与の対象となり、将来の退職金支給時の利息分を差し引いた金額が、退職金と判断されます。
ただこの場合の退職金の算出方法は、あくまで目安であって法律などで定められているわけではありません。退職金に関しては話合いで金額をきめて、双方が合意すれば、たとえ算出どおりではなくとも財産分与は可能です。
知識が明暗わける退職金の財産分与
退職金は、離婚時に受け取っている場合は財産分与の対象、受け取っていない場合は対象外となるので、「拒否」をすることは可能です。
しかし家庭裁判所や調停では、離婚時に退職したと仮定して退職金を計算し、退職金相当額が財産分与の対象とする判決が出ている判例も多くあります。もし配偶者が予定退職金の財産分与を請求してきた場合は、応じなくてはいけない可能性もあります。
とはいえ、裁判所側から配偶者へ退職金の財産分与を請求するよう促すことも、請求もないのに退職金の財産分与をしなさいと勝手に判断することもありません。あくまで配偶者側からの請求があった場合の対応となります。
退職金の財産分与を請求する側の対応
退職金も財産分与として請求できることや、離婚時に退職金を受け取らずとも退職金相当額を算出し、財産分与できるケースや例え退職まで長い月日があるとしても請求できるケースもあることを理解し、退職金も財産分与するよう請求することが大切です。
特に調停などで話し合う場合は、弁護士など専門的な知識のある人の力を借りることも必要です。
退職金の財産分与を請求される側の対応
働いている側としては、退職金まで財産分与されたくないというのが本音ではないでしょうか。離婚時に退職金を受けとっていない場合、相手側から請求されるまで動く必要はありません。
しかし、一部の条件では対象となるケースも多いので、もし相手が請求してきた場合は「拒否」ではなく弁護士に相談することも大切です。
請求する側としては、退職金も財産分与できるという知識がなければ損をし、請求される側が得をします。また、知識があり請求した場合は請求する側が得をし、請求される側が損をします。
受け取っていない退職金の財産分与は、「請求」をするかしないかで明暗が分かれることが多いので、離婚をするにあたって知識をもつことが大切といえます。
まとめ
離婚時にまだ支払われていない退職金も財産分与の対象?!
財産分与として確定する前に確認を!
明暗分かれる退職金の財産分与
注意!退職金が確定していると財産分与の対象になる
財産分与の対象外になるケース