夫婦は常に円満とは限りません。念のため離婚に備え誓約書を作っておくと安心です。今回は、離婚時の誓約書の書き方と約束・契約・誓約・念書・覚書・離婚協議書の違いについてご説明いたします。
離婚誓約書の書き方とポイント
誓約書とは
個人と個人の間で、個人と企業の間でなど、何か約束をするときに「誓約書」が使われることは皆さんご存知でしょう。書面にすることは、約束を破ったときに法的責任を負わせる目的の他に、相手に精神的なプレッシャーを与える目的もあります。
誓約書に慰謝料の額を記載する際は、金額に注意が必要です。不当に高額であったり、現実的に支払いができないような金額だと無効になる場合があります。慰謝料の金額は、一晩の過ちと、長期にわたる不倫関係では重さが異なるようです。
約束・契約・誓約・念書・覚書の違い
そもそもの話ですが、意外とよく知らない方が多いので「約束 = 契約」について簡単に説明します。口約束にも法的責任が発生する場合があります。あなたが物を売りますと言い、相手がそれを買いますと言えば契約は成立しているのです。
コンビニで例えると、物を選んでレジに持って行くことが買うことの意思表示になり、店員さんがお金を受け取ることで売ることの意思表示をしていますので、書面にしていなくても契約は日常的に行われている行為なのです。
では、なぜ書面にするのでしょうか。1番の目的は内容を明確にすることにあります。時間が経てば都合の悪いことは忘れてしまったり、記憶が曖昧なったりするものです。言った、言わないの揉めごとを避けるために、書面することが必要です。
約束する内容は基本的に自由です。これは民法上でも定められている「契約自由の原則」が基となっていますが、「公の秩序や善良な風俗(習慣)」を脅かすような契約は無効です。
例えば、AがBに殺人を依頼して、BがAから100万円を受け取ったとしましょう。Bは100万円を受け取ったにも関わらず実行しなかったので、AはBを訴えることができるでしょうか。答えは「できない」です。明らかに、公の秩序や善良な風俗(習慣)を脅かす契約です。
もう一つ例をあげます。Aが、明日の10時にBを宇宙に連れて行くと言ったとします。10時なっても連れて行ってもらえなかったBはAに損害賠償請求をできるでしょうか。答えはもちろん「できない」です。
明らかに現実的な約束ではありません。現実的、つまり実現の可能性も必要だということです。
これらを踏まえた上で、書面を作成してください。
約束・契約・誓約・念書・覚書の違いをみてみましょう。
契約における「契約書」とは、「2人以上の当事者がいて、一定の法律効果を発生させるもの」を言います。
「覚書」とは、一般に「契約書に付加(補足する)」ときに作成します。
「念書」と「誓約書」は、一般に「サインする方が一方的に義務を負う」ときに作成します。
「約束」とは、これらの意味を包括的に含んだものであり、曖昧・抽象的なものと捉えてください。
民法の規定
民法上で「契約自由の原則」があり、それには「公の秩序や善良な風俗(習慣)」を脅かさないことが必要だということは上で説明した通りです。
しかしながら、民法754条には「夫婦間の契約はいつでも取消しできる」とも規定されています。夫婦間での契約は、表面的には非常に弱いということです。ですが、書面を作成することに意味がないということではありません。
条文の「婚姻中」とは、夫婦関係が破たんした以降は含まれないという判例の解釈があります。つまり婚姻中でも夫婦関係が破たんしたときには、書面の内容を取り消すことができなくなるということです。
誓約書に「再び浮気をしたら」、「関係が続いていたら」などの規定が入っていれば、発見したときに破たんしたと解釈して、効力を生じることになります。
誓約書の書き方
内容は自由です。お金のこと、浮気のこと、ギャンブルのこと、親権のことなど、「公の秩序や善良な風俗(習慣)」を脅かさない内容であれば、あなたが求めたいように作成してください。
書面自体はパソコンで作成しても構いませんが、誓約者の氏名・住所は必ず自筆です。押印する印鑑については、三文判(認印)でも、印鑑登録をした実印でも誓約書の効力に違いはありません。
ちなみに、誓約書と離婚協議書は全然違う書面です。離婚が前提の書面を作成したいのであれば、別ページの「離婚協議書」をご覧頂けたらと思います。
まとめ
離婚誓約書の書き方とポイント
誓約書とは
約束・契約・誓約・念書・覚書の違い
民法の規定
誓約書の書き方