離婚 理由で一番多いのは『 性格の不一致 』ですが、離婚事由として認められた事 例 はあるのでしょうか。
じつは、離婚理由として性格の不一致は認められていません。
今回は、性格の不一致による離婚が認められた事例をいくつかご紹介いたします。
性格の不一致による離婚が認められた事例
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性格の不一致での離婚調停は約半数?!
平成28年度司法統計家事事件によれば、離婚調停を申し立てた人約66,000人へ理由を調査した結果、「異性関係」約10,000人、「暴力をふるう」約12,000人、「性格が合わない」約30,000人、浪費家や性的不調和などを合わせると約17,000人、全体の半数近くが「性格の不一致」での離婚調停をおこしていることになります。
しかし、全てが認められているわけではなく、「性格の不一致」は離婚理由として最もあやふやで裁判官や調停員の考え方に左右されやすいため、認められにくいとされています。
民法は『性格の不一致』を認めていない
民法で認められる離婚事由は以下として定められています。
- 不貞行為
- 3年以上の生死不明
- 重度の精神病
- 婚姻を継続しがたい重大な理由
この中で性格の不一致があてはまるとすれば、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当します。
しかし、民法では重大な事由に明確な定義は定まっていません。
唯一、裁判で認められるもしくは認めるであろうという事由は、『DV』や『別居』などのわかりやすい事由になり、その人物の価値観に大きく左右されるような性格の不一致は、認められることは難しいといえます。
だからといって、今まで認められていないわけではありません。
過去にあったケースをご紹介します。
明るい妻と無口な夫の場合(横浜地判 昭和59年7月30日)
明るくおしゃべり好きの妻が、無口で感情を表に出さない夫に不満を持ち、何度か改善するよう話し合いましたが、夫の主張は「夫婦はお互いを尊重するべきだ」とのことで、妻に歩みよろうともしないことから限界を感じ、離婚調停にいたったケースです。
こちらの夫婦は、結婚後11カ月で別居、6年の別居生活を経て離婚裁判にまで発展してしまいました。
裁判の時点で別居生活が6年にも及ぶこと、妻の離婚への意志が強いことから夫婦生活の破綻が認められました。
しかし、無口であるということが悪いわけでも、おしゃべり好きが悪いわけでもありません。性格が合わなかったとしかいいようがないこの判例は、6年もの別居生活がなければ離婚という結論を裁判官は、出さなかった可能性があります。
優秀夫と激情妻の場合 (東京高判決昭和54年6月21日)
自分の趣味に妻が興味を示さない、家事に専念しすぎる、口論をすると激情しやすいことから、優秀夫が妻に対し離婚調停を2度起こしましたが、不調に終わり裁判にまでなったケースです。
これだけ聞くと、夫のわがままでは?ととらえられるような内容です。当然妻は夫の主張は自己都合であり、離婚の申出など夫婦関係が破綻した原因をつくったのは夫であると主張しました。
第一審の判決では、夫の主張は棄却されました。裁判官は妻の主張を支持し、「わがまま」ととらえたのです。
しかし夫は納得いかず、控訴をしました。
控訴審では一審判決とは違い、離婚を認める判決がでました。その理由としては、「夫婦関係の破綻」「夫婦関係の回復見込みなし」「夫だけに破綻の原因があるわけではない」と裁判官が理解したからです。
夫婦関係を続けることが困難だと認めてもらうことが重要!
争点は夫婦の性格の違いであるはずなのに、判決理由としては別居期間や夫婦生活の破綻があり、性格の不一致だけでは離婚が成立するのは難しいこと、また裁判官によって考え方も違うことが、2つの判例からわかります。
そのため性格の不一致で離婚をしたい場合、夫婦生活が破綻していることを確実に主張する必要があります。
もし離婚調停でも決着がつかない場合、裁判を選択する夫婦もいます。確実に離婚するためには、証拠を集めましょう。
- 別居後の住民票や借りアパートの賃貸借契約書
- 夫婦喧嘩の状況を記録したメモや日記、録音
- 夫婦関係の悩みを聞いていた人物の証言や陳述書
- 夫婦喧嘩の最中にいわれたセリフなど
これらの証拠は、裁判で利用できるのでコツコツと集めることが大切です。
話し合って離婚成立が望ましい
性格の不一致の場合、やはり夫婦2人で話し合って離婚が成立することが一番望ましい形です。
しかし、性格が合わないからこそ離婚を望んでいるのであり、話し合いでは解決できないほど関係が悪化しているケースも多いです。
調停にのぞむ場合は、性格の不一致だけではなく、夫婦生活の破綻なども含めて主張していきましよう。
まとめ
性格の不一致による離婚が認められた事例
性格の不一致での離婚調停は約半数?!
民法は『性格の不一致』を認めていない
明るい妻と無口な夫の場合(横浜地判 昭和59年7月30日)
優秀夫と激情妻の場合 (東京高判決昭和54年6月21日)
夫婦関係を続けることが困難だと認めてもらうことが重要!
話し合って離婚成立が望ましい