離婚 することになり、慰謝料や養育費の支払いも決まったけれど、相手によっては滞りなく払ってくれるか、心配な場合があります。そうした不安を払いのけるためには 公正証書 を作っておくのが一番です。ここでは公正証書の作り方や必要なものを詳しく解説します。
離婚を有利に運ぶ、公正証書の作り方とその決め手
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そもそも公正証書って、どういうもの?
公正証書とは公証役場で公証人が法律に従い作成する公文書です。公証人は法務大臣に任命された公務員で、公正証書は裁判で判決を受けたのと同等の効力を有しており、証拠として強い効力を発揮します。
離婚に関する公正証書は、主に慰謝料や財産分与、養育費、年金分割などに関して、夫婦の双方が取り決めに合意したことを証明する手段になるのです。
公正証書を作るとき、1人で公証役場に行ってはダメ?
公正証書を作成するのは公証人ですが、どんな内容を記載するかを依頼者が直接示す必要があります。そのため作成する日には夫婦が揃って公証役場まで行くのが原則です。
もし理由があり夫婦の一方しか役場に来ることができないときは、事前に公証人と相談し、代理人を立てます。その場合代理人は、来られない配偶者が書いた委任状に公正証書の最終案を添えて登録実印を押したものと、本人と代理人の印鑑証明を持参しなければなりません。
公正証書はこう作成すればOK!
まずは事前に夫婦でよく話し合い、慰謝料などの支払いや子どもの親権や面会権などの重要な事項について、どうするかを決めておきます。合意する内容が決定したら、公証役場に行く前に持参するものを準備しておきましょう。
必要なものは、離婚協議書か夫婦が合意した内容をまとめたメモ、2人の実印、身分を証明できるもの(発行して6カ月以内の印鑑登録証明書や運転免許証、パスポートなど)と、戸籍謄本、手数料などです。
手数料は公正証書に記載される慰謝料や財産分与などの総額によって変わってきますが、少なくとも5,000円~数万円はかかります。事前に電話などで金額を確認するのを忘れないようにしましょう。
公証役場に着いたら、受付で公正証書の作成を依頼すると、公証人のところへ案内されます。そこで公証人は必要書類を確認し、夫婦双方から話を聞き、疑問点などを解決してから公正証書の原本を作成します。
原本が完成したら内容を確認し、指定の箇所に署名捺印すれば手続きは終了です。
公証役場は証書の正本と謄本をそれぞれ1通発行しますが、正本はお金を受け取る側、謄本はお金を支払う側が保管します。正本でなければ強制執行する力を持たないので、間違えないように気を付けましょう。
こんな場合に公正証書があると有利です
財産分与や慰謝料の支払いを分割にした場合や、相手がきちんと支払いをする確証がない場合には、強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)を記載しましょう。こうすることで慰謝料や養育費が支払われなかった場合に、相手の給料を差し押さえることができます。
また子どもがいる場合、親権や面会などの交流についても細かく決めておくと、連れ去りなどのトラブルに際し、法的手続きを取ることもできるでしょう。
もしものときに公正証書の代わりに使える書類
公正証書には支払いが滞ったときに給料を差し押さえるなどの強制執行力がありますが、他にも同等の効力を持つ書類があります。それは離婚調停の際に作成される調停調書です。
調停調書は履行勧告と履行命令という2つの効力を持ちます。支払いが止まった場合、履行勧告は裁判所に申告して相手に支払うように勧告してもらうことができ、履行命令は差し押さえなどの強制執行を行うことができます。
個人で支払い交渉するよりも、裁判所からの勧告を受ける方が支払う側としては重く受け止めるので、いきなり差し押さえをするより先に履行勧告を行ってみるといいでしょう。
また調停調書は費用が1,200円と切手代だけで済むので、公正調書よりも安上がりです。
ただしこれは離婚調停を起こさない限り手に入らない書類なので、協議離婚の場合ならば、やはり公正調書を作成すべきでしょう。
それに調停調書ではそれぞれの特殊な事情までは記載されないのに対して、公正証書では法律に反しないことであれば多少の柔軟性を持って記載することも可能になります。
まとめ
離婚を有利に運ぶ、公正証書の作り方とその決め手
そもそも公正証書って、どういうもの?
公正証書を作るとき、1人で公証役場に行ってはダメ?
公正証書はこう作成すればOK!
こんな場合に公正証書があると有利です
もしものときに公正証書の代わりに使える書類