離婚をするとき、子供の親権をどうしても獲得したいという母親は多いと思います。司法統計によると、9割のケースで母親が親権者になっているようです。
ここでは、 離婚 をするときに 子供 の 親権 がどうやって決まるのかについて解説したいと思います。
離婚をするとき、子供の親権はどちらが獲得するのか
親権と監護権について
親権には、大きく分けて財産管理権と身上監護権があります。このうち、身上監護権だけを取り出して、監護権ということがあります。
財産管理権には、包括的な財産の管理権と子どもの法律行為に対する同意権が含まれています。監護権には、身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権、職業許可権などがあります。
すなわち、親権だけを獲得しても、監護権を父親にとられてしまったら、子供と一緒に住むことはできないということです。
ほとんどの場合、親権と監護権は一緒になっています。子どもの福祉のためには、それらの権利を分けないほうがいいと考えられているからです。
親権者は父親だが、父親が海外出張で子供の世話ができないというような例外的な事情でもない限り、親権と監護権はセットで考えておけばよいでしょう。以下の解説でも親権と監護権はセットで考えています。
親権を獲得するためには
誤解している人もいますが、親権というのは裁判で決まるものではありません。まずは夫婦間の話し合いで決めて、それでも決まらなければ調停を行い、それでも決まらない場合に裁判によって強制的に親権者を決めてしまうのです。
裁判においては、父親や母親の主張も考慮されますが、一番重要になるのは子供の福祉です。子供の福祉というと難しい言葉ですが、簡単に言うとどちらの親が親権者になるのが子供の幸せのためによいのかということを基準に決められます。
具体的には、経済力、愛情の大きさ、年齢や健康状態、子どもの年齢や性別・発育状況、子ども本人の意思などを基準にして決められます。
子供が15歳以上の場合には必ず子供の意志も確認しなければならないとされていますが、15歳未満でも子供の意見は聞いておくべきでしょう。子供の年齢が高いほど、子供の意見は重要になります。
離婚の原因を作ったということは親権には関係ないのか?
例えば、妻の浮気が原因で離婚をした場合、妻に落ち度があるので、子供と一緒に住む権利はないという人がいます。しかし、裁判では、浮気などをして離婚の原因を作ったということは、他の面では重要な要素となりますが、子供の親権を決めるときには影響しません。
しかし、妻が浮気をして、それにたいして子供が嫌悪感をもってしまっている場合などには、大きく影響してしまうでしょう。大切なのは、子供に悪影響を与えているか否かということです。
夫が妻にたいして暴力をふるっている場合でも、暴力をふるったシーンを子供に見せてしまっていたのか、子供のいないところで暴力をふるっていたのかで大きく差がでます。
前者のケースでは、子供に恐怖を与えてしまっているので親権の獲得は難しくなりますが、後者のケースでは子供は事実を知らないので、父親が親権を獲得できる可能性もあります。
このように、妻に暴力をふるうようなひどい父親でも、子供にとっての幸せになるのなら父親が親権者になる可能性もあるということです。裁判では、子供の幸せが一番重視されているということがわかる例です。
親権と養育費の関係
一般的に、養育費は別れて暮らしている父親が支払うものだと考えられていますが、父親が親権者になった場合には、母親に養育費の支払い義務が発生します。
養育費というのは、生活に余裕があるときに支払えばよいものではなく、自分の生活レベルを落としてでも支払わなければならないものです。
自分の命を犠牲にしてまで支払う必要はありませんが、子供に自分の生活と同じレベルの生活をさせる義務と考えられているため、別れて暮らしているからといって子供が貧しい生活をしていて、自分だけが裕福な生活をしているということは認められません。
まとめ
離婚をするとき、子供の親権はどちらが獲得するのか
親権と監護権について
親権を獲得するためには
離婚の原因を作ったということは親権には関係ないのか?
親権と養育費の関係