慰謝料 は 離婚 の原因を作った側が賠償金として払うものです。最近では慰謝料の代わりに「和解金」と呼ぶ場合もあります。慰謝料は夫婦で話し合って金額などが決定されます。では慰謝料とはそもそも何か、具体的にどのように請求すればいいのか、ポイントを押さえていきましょう。
離婚慰謝料の基礎知識と請求するときに気を付けるポイント
慰謝料が持つ意味
慰謝料は相手の婚姻関係における不法行為によって受けた精神的、肉体的苦痛に対する損害賠償です。そのため離婚の理由が性格の不一致などのみで相手に有責行為が無い場合は認められません。
慰謝料には2つの要素があります。浮気、借金、暴力などで相手からこうむった心の苦しみそのものへの「離婚原因慰謝料」と離婚することで負う精神的な苦痛に対する「離婚自体慰謝料」です。
財産分与とは基本的に別のものなので、財産分与が終わっていても慰謝料は別に請求できます。協議離婚の場合は慰謝料の請求は離婚前にしましょう。離婚した後では話し合いを持つのが難しくなり、請求しにくくなるケースが多々あるからです。
慰謝料の支払い方法はさまざま
慰謝料の支払い方法は、一括払い、分割払い、現物払いの3通りがあります。一括払いで受け取った場合は金額が大きいため、つい無駄遣いしがち。気を引き締めて計画的に処理するのが望ましいです。
分割払いの場合は初回の支払い分をできるだけ高めにし、2回から4回で終わるように設定します。そして支払いが滞った時に備えて、話し合いの内容を必ず公正証書などの文書にして残しましょう。
現物払いの対象になるものは主に不動産、車、株式などの有価証券、高額な美術品などです。それぞれ、どちらの名義になっているかを確かめて、離婚するときに必要とされる書類を受け取ります。離婚が成立したらすぐに名義を変更しましょう。
有価証券はできるならその時点で現金に変えてもらった方がいいのですが、時期が悪く価値が低くなっているときは名義変更をして、市場での価値が上がった時に売却しましょう。
有責配偶者以外に慰謝料を請求できる相手
離婚の原因が浮気の場合は、浮気相手に対しても慰謝料を請求できるケースがあります。それは浮気相手が有責配偶者を既婚だと知っていて関係を持っていた場合です。あらかじめ証拠を確保しておけば状況が有利になります。
しかし相手が既婚者だと知らなかった、もしくはすでに離婚していると聞かされていた場合には不当性が認められず、慰謝料を請求することはできません。
また配偶者の親族が原因となる場合は、訴えることはできても認められない場合が多いようです。暴力や暴言があった場合には病院で診断書を書いてもらう、暴言を録音する、などをしておきましょう。
第三者へ慰謝料請求する際、話しをするのが難しいようであれば弁護士を立てて交渉してもらうのがいいでしょう。また、書面を作成して内容証明で送付するという手もあります。相手が話し合いに応じて慰謝料を払うと承諾したら、請求額や支払い方を決定して示談書や公正証書を作成します。
話し合いを拒否されてしまったときや交渉が決裂したときは、調停を申し立てるか裁判を起こしますが、第三者の場合は家庭裁判所ではなく簡易裁判所か地方裁判所で争うことになります。
慰謝料に税金はかかる?
現金で支払われる慰謝料の場合は支払う方ももらう方も税金の対象外となるのが原則です。ただし一般常識からいって極端に高額だった場合は受け取る側に贈与税がかかってくることもあります。
現物払いのときは支払いをする側に譲渡所得税がかかります。しかし譲渡をするものが不動産である場合、売却するのであれば特別控除、そのまま住むのであれば軽減税率適用の対象になります。
特別控除は売却した場合、利益が3,000万円以内であれば無税になるというもの。軽減税率適用は住むために10年以上所有している不動産は、税率が軽減されるというものです。
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、離婚前なら110万円の基礎控除と、2,000万円の配偶者控除が受けられます。そのため離婚前に2,000万円分を贈与しておけば、譲渡所得税の対象になる分が少なくなり、支払う側にとって節税になるでしょう。
慰謝料をもらう側には基本的に税金はかかりませんが、不動産に限っては不動産取得税がかかってくるケースもあります。
まとめ
離婚慰謝料の基礎知識と請求するときに気を付けるポイント
慰謝料が持つ意味
慰謝料の支払い方法はさまざま
有責配偶者以外に慰謝料を請求できる相手
慰謝料に税金はかかる?