家庭裁判所で行われる離婚調停では、第三者である調停委員が間に入って夫婦間の紛争の解決を目指します。その離婚調停でたびたび用いられる陳述書ですが、実際どのようなものかご存知ない方も多いのではないでしょうか。
今回は、 離婚 調停 における 陳述書 の役割や記載すべき内容について、詳しく説明いたします。
陳述書には何を書く?離婚調停での効果的な陳述書の書き方
陳述書の役割
離婚調停で自分が話すことができる時間は限られています。その限られた時間の中で、すべてを調停員に伝えきることはとても難しいことなのです。
調停に臨む人ならだれもが、「自分に有利に働くことはしっかりと調停委員に伝えたい!」、そう考えるものです。そこで効果を発揮するのが陳述書です。
離婚に至るまでの夫婦の経緯や希望を記載する欄は、離婚調停の申立書にもあります。しかし、申立書にある申立ての趣旨、動機の欄はとても小さく、そこに自分の考えや思いを全て書ききることはできません。陳述書は、申立書に書ききれなかった内容を補足する役割も果たすものです。
陳述書を提出するメリット
離婚調停での話し合いをより円滑に進めるため、弁護士から陳述書の作成をすすめられることがあります。期日当日に自分の言葉で主張を展開することに問題はありませんが、あらかじめ自分の主張を書面にまとめて裁判所に提出しておくことは、時間の短縮につながります。
また、裁判官や調停委員も陳述書の内容を吟味してから調停期日を迎えられるため、話し合いがスムーズに進められます。
期日当日に口頭で主張しようとしてもうまく伝えられなかったり、伝えようと考えていたことを伝え忘れてしまったりすることがあります。そのようなことが避けられるのも、陳述書を提出するメリットのひとつと言えるでしょう。
陳述書の書き方
陳述書には決められたフォーマットがありません。そのため、書きたいことを自由に書くことができます。ここでは、一般的な書き方について説明いたします。
陳述書を書く中で、書き直しが何度も発生することが予想されます。そのため、陳述書はパソコンで作成するのが便利です。内容の修正や加筆といった作業が、パソコンなら簡単にできますし、仕上がりもきれいです。
離婚調停が不調に終わり離婚訴訟に発展することも考えられます。そして、訴訟に発展すると弁護士に代理人を務めてもらう必要があります。そのため、調停での経緯を弁護士に説明し情報を共有する必要がありますが、陳述書があれば弁護士への説明の負担が削減できます。
陳述書をパソコンで作成し電子ファイルとして保存しておけば、弁護士への陳述書の送付も容易です。
陳述書は3枚から5枚程度にまとめることをおすすめします。枚数が多い陳述書には相手の誹謗中傷が加わる傾向があります。そのような陳述書は調停委員に悪い印象を与えてしまい、かえって逆効果になってしまいます。
陳述書に記載すべき内容
ここから最も重要な、陳述書に記載すべき内容について説明いたします。
陳述書を提出する最大の目的は、自分は最終的にどうしたいのかを裁判官や調停委員に明確に理解してもらうことです。
したがって、離婚をしたいのであれば「離婚をしたい」と主張する必要があります。また離婚をしたくないのであれば、状況を説明した上で離婚をしたくない旨を主張する必要があります。
その一方で、自分の言い分のみを主張しても、裁判官や調停委員から理解を得ることは難しいでしょう。陳述書には、「離婚をしたい」という結論に至った経緯と事情を記す必要があります。
次にあげるものは、陳述書に記載される一般的な内容です。
- 結婚に至るまでの経緯
- 子供の年齢や同居の有無など
- 夫婦の職業・年収
- 離婚を決意させたきっかけや事件
- その後の状況や相手の対応
- 離婚調停申立前の離婚協議の状況
- 最終的に自分がどうしたいのか
事実にもとづいて、これらのことを時系列に沿って書いていきます。調停に臨む夫婦に初めて接する裁判官と調停委員に、どのような夫婦生活を送ってきたのか、何がきっかけで離婚調停を申し立てたのかなどを理解してもらえるような内容を記載します。
まとめ
陳述書には何を書く?離婚調停での効果的な陳述書の書き方
陳述書の役割
陳述書を提出するメリット
陳述書の書き方
陳述書に記載すべき内容