老後を独りで過ごす、いわゆる「おひとりさま」の高齢者が近年増えています。2010年の一人暮らしの高齢者は男性約139万人、女性約341万人となっています。
近年、50歳独身という人が急激に増加していることも考えると、高齢者の一人暮らしは今後も右肩上がりに増え続けると予想されます。
おひとりさま は、どのような 老後 を迎えることになるのでしょう。
おひとりさまが迎える老後の現実
老後の生活費
まず、おひとりさまが老後に必要となる生活費がどの程度なのかを、考えてみることにしましょう。現在の支出を把握している人は、その額を基準に自分が60歳を過ぎた時に必要となる生活費を、イメージすることができるのではないでしょうか。
60歳になると、生命保険料や年金の保険料、住宅ローンの支払いから解放される人も多いでしょう。一方で、高齢になるにつれて医療費が増えたり、趣味や余暇に費やすお金が増えたりと、支出が増える項目もあります。
これらを考慮して老後に必要な生活費について考えてみると、おおよその額を計算できるのではないでしょうか。
「家計費調査年報」による60歳以上のおひとりさまの1か月の支出データを見てみると、参考になります。
左側が男性、右側が女性に関するデータです。
- 持ち家率:72.3%・81.7%
- 家賃支払い率:24.6%・17.0%
- 消費支出計:151,658円・150,326円
男女ともに持ち家率が高い傾向にありますが、老賃貸住宅に住む場合は家賃の支出も計算に入れなければなりません。
受け取れる年金の額
老後の主な収入源は公的年金になります。ここで、厚生労働省による「平成27年度の年金額改定について」をもとに、65歳以降に受け取ることができる年金額の目安をご紹介します。
- 自営業(国民年金):約65,008円
- サラリーマン(厚生年金):約156,499円
受け取ることができる額は、加入年数などにより異なることにご留意ください。また、高齢化が進む日本においては、年金受給額の減額も考えられますが、ここでは将来の不確定要素は考慮しないでお話を進めることにします。
不足した資金は働いて稼ぐ!?
ご紹介したデータから、公的年金だけで老後の生活費をまかなうことは難しいことが、おわかりいただけると思います。では、生活費の不足分はどのようにして補えばよいでしょう。
自営業の人は60歳になっても商売を続けることで、収入を得ることが可能です。しかし、定年退職したサラリーマンは、そうはいきません。
そこで、定年退職後も働くということになります。総務省統計局労働力調査のデータ(平成25年)を見ると、60歳から64歳の就業率は58.9%、65歳から69歳の就業率は38.7%にものぼります。
悠々自適に過ごす老後の生活を実現できるのは、ほんの一部の人たちだけのようです。多くの人は、定年後も働くことで生活費の不足を補っている実態を垣間見ることができます。
60歳を過ぎても働き続けようと考えている人は、60歳になる前に働き口を確保しておくことが大切です。60歳まで正社員として勤めている人は、65歳まで雇用してもらうことを目指しましょう。
高齢者が活躍できる職種
定年後の生活費の不足を、アルバイトで補おうと考える人もいるでしょう。高齢者が活躍できる職種は意外と多く、高齢者を対象としたアルバイトもあります。男性であれば、工事現場や店舗などでの交通誘導員や警備員、清掃員、工場などでの荷物や商品の仕分け作業などがあります。
女性の場合は、スーパーなどでのお弁当の調理、清掃、ベビーシッターなどの職種にて、高齢者が活躍する機会があります。また、自治体のシルバー人材センターに登録することも勧めです。
まとめ
おひとりさまが迎える老後の現実
老後の生活費
受け取れる年金の額
不足した資金は働いて稼ぐ!?
高齢者が活躍できる職種