離婚するためには、あらかじめ、お金や子供について決める必要があります。その際に決めた内容を文字で残すということには、大きな意味があります。口約束だけでは、言った言わないの水かけ論になることが多いからです。
このような場合は、文書として残すのが、得策です。この文書の一つとしてあげられるのが 念書 になります。
離婚の際に念書を100%活かすためにはどうするか
念書について
念書とは、約束ごとを文書化したものです。協議離婚の場合、財産分与や離婚後の氏(名字)、場合によっては慰謝料について、また、未成年の子供がいる場合は、親権や子供との面接交渉、養育費について夫婦で話し合って決めるのが一般的で、その内容を文書化します。
タイミングは離婚前、話し合って合意が取れたその時がいいでしょう。
念書は、当事者の一方がもう一方に対して約束する内容を記載して差し出すものであるため、差し出す側の署名、捺印のみになります。なお署名は、本人の直筆でないと無効になってしまうので、気を付けましょう。もちろん、ゴム印などは認められませんのでご注意を。
なお、離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、判決離婚があります。協議離婚とは自分と配偶者の双方が話し合ったうえで離婚に合意することをいいます。
念書の書き方と注意点
書く内容が決まったら次は、念書に盛り込む内容について。まず表題は念書にします。続いて、配偶者の氏名、自分の氏名、(支払い等を)実行する年月日、場所、内容、念書の作成日、署名と捺印、になります。
ここで注目すべきは場所です。なぜ契約する場所を明記するのか。これは脅迫、強要して書かせた念書は無効になる、という決まりがあるためで、対策としては、人の多いレストランや喫茶店などで書いてもらうなどが考えられます。
次に注目するのは内容です。例えば配偶者が浮気していた場合、再び同じことをしないと約束させるだけでなく、浮気の事実を認める内容や慰謝料の額も明記させましょう。
また浮気相手にも同様のものを書かせておくと、心理的な抑制力になる可能性もあります。つまり念書には心理的な拘束力が期待できるということです。
ちなみに、協議離婚の場合、浮気相手に慰謝料を求めることが可能で、さらに配偶者から慰謝料をとることも可能です。ただし慰謝料の相場は100万円~300万円くらいです。
念書の効力
念書自体の効力は、残念なことに極めて低いです。そのため、離婚後に元配偶者が支払うはずの養育費などが払われなくなっても、すぐにお金を払うよう強制する力はないのです。
再び、養育費を払ってもらうためには、養育費の支払いを求める調停や裁判を申し立てることになりますが、その際、相手が約束したことを認めるとは限りません。このような場合に念書は契約成立の有効な証拠になり、裁判を有利に進めることが可能になります。
念書を公正証書にする
協議離婚後に、調停や裁判を経てから支払われなかった養育費等を取り戻すのは、時間と労力がかかります。調停はだいたい月1回のペースで行われますし、裁判もこじれれば1年かかるということもあります。できればこのようなことは避けたいものです。
こういう場合は相手が書いた念書と、自分が書いた念書を2通用意して公証人役場で公正証書を作成します。公正証書を作るには夫婦2人が同席する必要があるので、話し合ってスケジュールを調整しましょう。
公正証書の利点は、法的拘束力があり、もし養育費の支払いが滞った場合でも、直接、強制執行をかけられることです。つまり余計な時間と労力をかけずに済むわけです。
これには、残念なことに、養育費といった、長期間支払わなくてはならないお金は、支払いが滞ることが多いという現状が背景にあります。
まとめ
離婚の際に作成した念書を100%活かすためにはどうするか
念書について
念書の書き方と注意点
念書の効力
念書を公正証書にする