離婚をすると、夫婦で財産分与が行われますが、年金については別で年金分割制度が用意されています。年金分割制度は、とても複雑な制度になりますので、すべてを理解している人は少ないと思います。
しかし、自分に必要なことだけを理解すればよいので、それほどハードルは高くありません。ここでは、離婚時の 年金分割 制度と、その 計算 方法についてできるだけわかりやすく解説します。
離婚時の年金分割制度とは?その計算方法は?
離婚をするとき夫婦で財産を分けるけど・・
日本では夫婦別財産制がとられていますので、離婚をしてもそれぞれの財産状況に変更はありません。しかし、婚姻中に夫婦で共同で築いた財産については、平等に分割しなければならないでしょう。
夫の給料については、夫は自分のものだと主張するかもしれませんが、妻が家事や子育てをしてくれているからこそ夫は仕事に集中できるわけなので、半分は妻の功績です。離婚時の財産分与では、夫の給料は半分に分割されます(専業主婦の場合)。
昔は年金についても財産分与の対象とされていましたが、現在では特別な制度があります。
年金分割制度とは
婚姻中に妻が専業主婦をしている場合、妻は国民年金に加入しています。しかし、夫は厚生年金に加入しており、もらえる年金にはかなりの差がつきます。妻は家庭のために専業主婦をやっているのに、もらえる年金に差がつくのは不公平です。
そこで、離婚をしたら年金も平等に分割しようという制度が年金分割です。年金分割と聞くと、年金を半分に分割する制度だと思っている人がいますが、実はかなり計算方法は複雑になります。
年金分割の計算での注意点
年金分割の対象となるのは、厚生年金です。国民年金は専業主婦の妻も加入しているので、分割する必要はありません。夫が自営業で厚生年金に加入していない場合には年金分割は利用できません。
また、分割の対象となるのは婚姻期間のみです。例えば、25歳で結婚をして、35歳で離婚をした場合には、その10年間の分だけが分割の対象となります。
しかし、婚姻期間中であっても分割の対象とならないことがあります。例えば、33歳のときに別居をするようになって、35歳で離婚をした場合にはその2年間は夫婦での協力がありませんので、分割の対象にはなりません。
2種類の年金分割
年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。合意分割とは、その名のとおり夫婦の合意で分割するものですので、分割割合はある程度自由に決められます(最大で2分の1)。夫が7割をもらって妻が3割をもらうということも可能です。
さらに、合意分割では、過去の年金もさかのぼって分割できるのが特徴です。
3号分割では、分割割合は2分の1と決められています。また、平成20年4月1日以後の分が対象であり、それ以前の年金は合意分割でしなければなりません。3号分割の特徴としては、夫婦の合意がなくても一方の意思でできるということです。
合意分割では、夫婦の合意が必要ですので、話し合いで解決しない場合には調停や裁判を行うことになります。
最後に
いかがでしたでしょうか?基本的に専業主婦のケースで考えてきましたが、夫婦共働きのケースでも年金分割は利用できます。妻のほうが高収入を得ているケースでは、夫のほうが年金分割で得をすることになるでしょう。
基本的には年金分割は、家事や子育てで家庭に貢献してきたものの、お金に反映されてこなかった主婦のためにある制度です。離婚をするときには必ず年金分割は検討してみましょう。
離婚をしてから2年が経過してしまうと年金分割を請求することができなくなるということにも注意が必要です。離婚をするときは、なるべく早めに関係する手続きを終えてしまうことが重要です。
まとめ
離婚時の年金分割制度とは?その計算方法は?
離婚をするとき夫婦で財産を分けるけど・・
年金分割制度とは
年金分割の計算での注意点
2種類の年金分割
最後に