最近、婚姻届を提出しない 内縁関係 が増えています。婚姻届を提出した正式な夫婦ではありませんが、内縁関係であっても、夫婦としての権利・責任が認められます。
今回は、内縁関係を解消することになった場合に必要となる手続きと注意すべき点を解説します。
内縁関係を解消する場合の手続きと注意すべきこと
内縁関係の条件
わが国では、婚姻届が役所に受理されれば、夫婦として認められます。一方で、内縁関係として認められる画一的な条件はありません。二人の関係を総合的に判断することで、内縁関係なのか否かが判断されます。
内縁関係だと認められるには、少なくとも両親・親類や知人など周囲から夫婦のように扱われていることが必要です。また、結婚式に準ずる会を開催している場合や、認知している子供がいる場合は、内縁関係として認められる可能性が高まります。
逆に、たとえ同居期間が長くても、家計を共にしていても、周囲から夫婦のように扱われていない場合は、内縁関係とは認められません。
内縁関係と認められると、法律婚の夫婦と同様の権利と責任が認められます。
内縁関係を解消するための手続き
婚姻届を提出した法律婚の夫婦が離婚する場合、離婚届が役所に受理されれば離婚が成立します。一方で、そもそも婚姻届を提出していない内縁関係の二人が、内縁関係を解消する場合、届け出るものはありません。
実際には、二人で内縁関係を解消するための話し合いの場を持ち、共有財産の分割方法など支払いに関することや、子どもの親権などについて合意する必要があります。将来もめる要素を残さないためにも、合意内容については、書面に残しておくことをおすすめします。
内縁関係を解消することに伴うお金関係の取り決め
内縁関係を解消するとき、さまざまなお金関連についても、話し合って合意しておく必要があります。
まずは、財産分与です。内縁関係の期間中に、二人で築いた財産は内縁関係を解消するときに公平に分配することが求められます。
預金、健康保険、株式、自宅だけではなく、二人で飼っていたペット、電化製品に至るまで財産分与の対象となります。どの財産を、どちらが分与を受けるか、ひとつひとつ話し合いましょう。
また、年金についても、内縁関係の期間中を対象に年金分割することが求められます。ただし、年金分割で内縁関係期間と認められるのは、第3号保険となっている期間のみ、つまり扶養されている期間のみです。
合意内容は、二人の覚書でも良いですが、より公的な効力を求める場合は、公正証書を作成することをおすすめします。公正証書があれば、年金分割の請求を手続きするとき、一人で手続きを完了させることができます。
もし、二人の間に子供がいる場合は、親権をどちらが持つのかに加え、養育費についてもしっかりと話し合い、合意しておくことが重要です。
養育費は長期間支払うものですので、途中で支払われなくなるようなことを防ぐためにも、合意内容を公正証書として作成し、二人が持っておくこともおすすめです。
もし、話し合いがうまくいかない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
一方的な内縁関係の解消は認められません
内縁関係を解消するには、二人の合意が必要です。もし、一方的に正当な理由がないまま内縁関係を解消した場合には、損害賠償責任が発生し、慰謝料を支払わなければいけない可能性があります。
逆に、法律婚の夫婦における「婚姻を継続し難い重大な事由」と同様の理由があれば、内縁関係を解消することができます。
たとえば、浮気などの不貞行為があった場合、ギャンブルや借金によって家計が破綻してしまった場合、DVがあった場合などは、内縁関係を解消することができます。これらの場合、相手に慰謝料を求めることもできます。
いずれの場合も、不利な状況にならないように、まず弁護士に相談することをおすすめします。
内縁関係を証明するために
内縁関係の解消において、二人で合意できなかった場合など、内縁関係を証明する必要性が出てきます。住民票に未届けの夫・未届けの妻として記載しているのであれば、住民票で内縁関係を証明することができます。
ほかには、扶養家族となっている場合にはそれを証明する書類、二人の名前で契約した賃貸契約書、二人の家計が記載されている通帳、二人分の家具を買ったレシート、結婚式に準ずる会の開催費用の領収書などが考えられます。
書類が全くない場合には、夫婦のように扱っていた両親・親類や知人の証言が有効となる可能性もあります。
まとめ
内縁関係を解消する場合の手続きと注意すべきこと
内縁関係の条件
内縁関係を解消するための手続き
内縁関係を解消することに伴うお金関係の取り決め
一方的な内縁関係の解消は認められません
内縁関係を証明するために