近年男女の関係性の選択として、法律上の夫婦であることにこだわりがなくなってきています。それには女性の自立・社会的地位の向上や、離婚する夫婦が近年増えていることも関係しているといわれています。
内縁 関係と婚姻関係との違いはどういったものなのか、内縁関係を主体にお話しします。
ちょっと待って!内縁関係を選択する前に知っておこう!
内縁の妻(夫)とは?
事実婚とも呼ばれる内縁関係は、本人達の意志で婚姻届を出さずに共同生活(同棲)をする関係をいいます。あくまでも『婚姻届を出さない』という選択をした男女であり、お互いに夫婦として認識し共同生活を営み、周囲にも夫婦だと認知されているかが大切になります。
しかし、本人達がいくら「夫婦です」と言っているからといって、法的に内縁であると認めてもらえないこともあります。
社会的に『内縁関係』だと認められるには?
まず、ただ同棲生活を長く送っているだけでは内縁関係だとは認められません。まず最低条件として本人同士が結婚の意志・婚姻の意志があるかどうかが重要になります。
この他に認知した子供がいたり、家計が共同であったり、通常の夫婦と変わらないことが大切になります。そして一番の効力は『住民票』です。
同居をする時に住民票の内容を変更しますが、夫を世帯主とした場合、続柄を『同居人』とするのか『妻(未届)』とするのかで変わります。
ただの同棲や同居の場合は同居人とするのが妥当ですが、内縁関係であるには『妻(未届)』と記載してもらうことで、婚姻の意志を示せるとともに社会保険などの手続きがスムーズになります。
内縁関係には相続権がない?!
基本、内縁関係において相続権というものはありません。そして内縁関係で唯一、相続できるものは『賃借権』です。賃借権は本来相続とはいいませんが、亡くなった人の名義で借りていた建物・アパートなどはそのまま借りることができます。
もし賃貸物件に住んでいた場合はそのまま住み続けることができるのです。
内縁関係であっても相続できる方法は、『遺言』と『特別縁故者になる』の2つしかありません。遺言は、本人が生前作成した遺言書に相続人を内縁者に指定すれば、相続することは可能です。そして『特別縁故者』になることができれば、相続することが可能になります。
特別縁故者とは、亡くなった人に法定相続人(婚姻関係にある配偶者や子供)がいない状態、もしくは相続を放棄した場合が10カ月以上経過し、家庭裁判所へ申し立てをして認められた場合に特別縁故者となり相続することが可能になります。
ただ、相続税の加算対象になり納税額も20%増しとなります。
内縁関係の子供はどうなるの?
婚姻関係のある夫婦では、同じ戸籍に入るので戸籍は1つになりますが、内縁関係になると戸籍の異動などはないので、別々の戸籍をもつことになります。
内縁関係の夫婦間で生まれた子供は、母親の戸籍に入り父親とは別の母親の姓になります。法的扱いとしては『未婚の女性が子供を産んだ』ことと同じ扱いになるので、子供の戸籍の父親の欄は空欄のままになってしまいます。
そこで、父親が自分の子供だと認める『認知』をすることによって、子供の戸籍の父親欄は埋まり親子関係だと法的に認められることになります。
法的に親子関係だと認められると、扶養の義務や養育の義務が発生します。また、内縁関係の母親には相続権はありませんが、親子関係だと認められた子供には相続権があります。
気を付けなければいけないのが、例え父親が認知したとしても法的には非摘出子となることです。この場合、子供に父親の姓を名乗らせるには『養子縁組』か『名前の変更許可』が必要になります。
内縁関係を選択する前に
『内縁関係』を選択する夫婦は少しずつ増えています。表向きは、女性の姓の変更がなくもし離婚を選択した場合も戸籍を汚すこともなく別れることができ、男女対等な関係を気づきやすいというメリットもあります。
しかしその反面、法的な手続きは何もないので、法律的に守られ権利などが明確な婚姻関係の夫婦に比べ、相続や配偶者控除が受けられないなど公的なデメリットの部分が多いのが現状です。そしてもし子供を持った場合の、戸籍の問題などさまざまな壁もあるでしょう。
しかし、慰謝料や財産分与など婚姻関係の夫婦と同じような権利が認められている部分もあり、どんな夫婦関係を築いていきたいのかメリット・デメリットなどを含め選択することが大切になります。
まとめ
ちょっと待って!内縁関係を選択する前に知っておこう!
内縁の妻(夫)とは?
社会的に『内縁関係』だと認められるには?
内縁関係には相続権がない?!
内縁関係の子供はどうなるの?
内縁関係を選択する前に