最近よくワイドショーなどでも聞くようになったモラハラ(モラルハラスメント)ですが、実際にはどんなことなのか知らないという人もいるようです。 モラハラ の被害を受けている 妻 に取材をしてみると、そこから抜け出すことの難しさが見えてきました。そんなモラハラの実態について説明いたします。
モラハラ被害から抜け出せない!妻たちの切迫した現実
モラハラって何?DVとどう違うの?
モラハラという言葉はワイドショーなどでもよく聞くようになりました。それが「モラルハラスメント」の略語だということは多くの人が知っています。
訳すれば「モラル(常識)による精神的な暴力や嫌がらせ」ということになりますが、意味としては「言葉や態度で相手の人格を傷つけたり否定して服従させること」です。
DV(ドメスティックバイオレンスの略)は身体的な暴力で相手を服従させるので、モラハラは「精神的なDV」だという人もいます。
モラハラの加害者は一見、面倒見がよく愛情深い良識のある人間という印象を周囲に与えていることが多く、決して攻撃的であったり暴力的だという印象はではないのですが、自分が支配したいと思う相手に対して抑圧的な行動をとります。
その際には暴力を振るうのではなく、相手の考えや人格を否定したり馬鹿にしたりすることで相手の自信や尊厳を奪ってしまいます。それを繰り返されると被害者は自分の考えに自信が持てなくなり、相手を怒らせている自分が悪いのだとすら思うようになってしまうのです。
自分がモラハラを受けている自覚がない妻もいる
夫のモラハラが原因で離婚をした妻Aさんに取材をしました。Aさんは専業主婦で2人のお子さんがいました。普段の夫は家事にも協力的でとても家庭的な人だったと振り返ります。
周囲には愛妻家として知られていて、子供たちに対しても「お母さんの作る料理はいつも美味しいな」などとAさんを褒めていたと言います。しかし一方でAさんが家族以外の人間と親しい交流を持つことを嫌悪する面があり、子供の成長と共にそれはどんどん強くなっていったのです。
子供が幼稚園や小学校にあがるとAさんには母親同士の付き合いができ、平日の昼間にランチなどに誘われるようになりました。また子供の教育資金のためにパートに出たいという気持ちも芽生え夫に相談を持ちかけたのもこの頃でした。Aさんの夫は露骨に不快感を表しました。
ママ友達を悪くいい、働くことも頭ごなしに否定したと言います。「夫が仕事をして子供たちが勉強をしている時間に家のことを放り出して遊ぶのか」「お前が家事と仕事を両立できるわけがないだろう」と。決して暴力的ではなく淡々とした口調だったそうです。
しかしAさんが「わかった」というまでそれは毎日繰り返されたのです。それでもAさんは間違っているのは自分なのだと思い、家族思いの夫に対して尊敬の気持ちを持っていたといいます。「いまどきは専業主婦という人の方が珍しいのでママ友との人間関係でも卑屈になっていました。
いろいろなことにストレスを感じていて精神的にも参っていたのですが、それもすべて自分が一人ではなにもできない人間だからだと思っていました」そう語るAさんに転機が訪れたのはPTAの講習会でモラハラに関する講演を聴いたときでした。
「これは自分たち夫婦のことだ!」と感じたそうです。それからモラハラに関する資料や体験談をたくさん読み、それは確信に変わったといいます。
そこから修羅場が始まったそうです。夫は決して自分がモラハラの加害者だとは認めずAさんのことを責め続けたからです。最終的にAさんは調停を経て離婚しましたが、そこに辿りつくまでには相当な覚悟や苦労が必要でした。
モラハラ被害から抜け出すことが難しい事情とは?
Aさんのように自分がモラハラの被害者であるという意識のないままに苦しい日々を送っている妻は少なくありません。モラハラの厄介なところは加害者にも自覚がなく、むしろ自分のしていることが正しいと信じていることです。
そして被害者は自信を奪われてしまうので自立心を持つことが困難です。またモラハラは被害の実証が難しいという面もあります。
DVのように身体的な暴力を振るわれた場合は医者の診断を仰ぎ、診断書や怪我の状態を証拠として提出できますが、精神的な暴力であるモラハラは被害を形にすることが難しいのです。
しかし最近ではモラハラに対して社会的にも深刻な問題だと捉えられるようになり相談窓口も増えているので、そういった情報が被害者や周囲の人の目に触れるようになればモラハラ被害から抜け出せる被害者も増えていくでしょう。
まとめ
モラハラ被害から抜け出せない!妻たちの切迫した現実
モラハラって何?DVとどう違うの?
自分がモラハラを受けている自覚がない妻もいる
モラハラ被害から抜け出すことが難しい事情とは?