離婚件数が増える中、子供と離れて暮らす親の数も増えています。妻が子供を連れて家を出て行ったまま離婚に至るようなケースでは、夫に子供の監護権が認められるケースは極めてまれです。そのような立場の夫が子供と面会する手段はないのでしょうか?
実は、離婚後や別居中に子供を養育・監護していない親には、 面会交流 調停や 審判 といった手段で、子供との面会交流を求める請求が認められています。
子供に会いたい!面会交流を求めた審判について考える
面会交流とは
以前は「面接交渉」と呼ばれていました。子供と離れて暮らす親が定期的に子供と面会・交流することを「面会交流」といいます。両親がそろって子供に関わることが、子供の健全な成長のためには大切だと考えられています。
また、離れて暮らす親がわが子に会いたいと思う自然な気持ちを尊重し、面会交流という制度が認められるようになったのです。
面会交流って誰の権利?
以前から議論を呼んでいる「面会交流が誰の権利なのか」についてですが、大別すると次の2つの考え方があります。
親の権利
子供と離れて暮らす親が、わが子に会うための権利であるという主張です。離婚後に子供と離れて暮らすことになっても親子関係は継続し、親としての義務が求められるだけでなく、権利も尊重されるべきとする考え方を前提としています。
子供の権利
子供の健全な生育のためには、父母がそろって子供と関わりを持つ必要があり、面会交流を行うかどうかは、子供の気持ちを尊重すべきという考え方を前提とした主張です。
これら2つの主張については、調停や審判の申立人が「親の権利」を、裁判所が「子供の権利」を主張する立場と言えそうです。
面会交流調停および審判について
面会交流に関しては、父母での話し合いによって決めること、また子供が自分の意見を言える年に達しているようであれば、子供の意見を尊重することが基本となります。
離婚や別居の際は、父母がお互いに感情的になることが多いものです。話し合いによって適切な結論が得ることは難しい状態ですので、そのような場合は調停や審判を申し立てることになります。
離婚前であれば、離婚調停と併せて面会交流調停を申し立てることをお勧めします。そうすることで、離婚調停で協議される内容と併せて面会交流の協議も行うことができます。
また、離婚調停が不調に終わったとしても、面会交流については審判に移行して家庭裁判所の判断を仰ぐことができます。
このように調停で話がまとまらない場合、面会交流に関しては、審判にて家庭裁判所が面会交流の内容を決めてくれます。「調停を申し立てたけど、結局何も決まらなかった・・・」ということはありません。
離婚後であれば調停を経ずに直接審判の申立てが可能ですが、離婚が成立していない場合は、まず調停を申し立てる必要があります。
離婚後であれば、手続上は調停を経ないで審判の申立てができますが、面会交流は父母で話し合うべき問題としてみなされているので、家庭裁判所が調停の手続きに切り替えることも多くあります。
審判では何を決めてくれるの?
調停においては、父母が合意した内容についてのみ、面会交流の内容として調停調書に記載されます。面会交流に関する細かい規定がされない場合も多くありますので、そのことが後のトラブルとなることもあり得ます。
一方の審判においては、以下のような内容が家庭裁判所によって事細かに規定され、その内容にのっとって面会交流が行われることになります。
- 面会交流の頻度・日時
- 子供の引渡し方法
- 監護している側の親の立会いの有無
- 予定変更に関して
- 学校行事への参加
離婚後、子供との面会の機会を持てずにいるお父さん・お母さんは、面会交流調停・審判の申立てを行ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
子供に会いたい!面会交流を求めた審判について考える
面会交流とは
面会交流って誰の権利?
面会交流調停および審判について
審判では何を決めてくれるの?