「公正証書遺言を作るには手間と時間がかかる(前編)」では、公正証書遺言の作成方法についてご紹介いたしました。後編では、 公正証書 遺言 にかかる作成手数料や作成に必要となる書類をご紹介いたします。
公正証書遺言を作るには手間と時間がかかる(後編)
遺言に対する考え方と作成手数料の求め方
作成手数料は法によって決められており、全国に300ヵ所あるどの公証役場でも同じです。しかし、証書を作成するための手数料を算出するには「遺言は相続人・受遺者ごとの法律行為になる」ことを念頭に置く必要があります。
なお、受遺者とは遺言により贈与された財産を受け取る人のことです。まず、相続人・受遺者それぞれの目的の価額を算出します。そして算出した価額に対する手数料を求めます。それをすべて足したものが作成手数料になります。
例えば相続人が3人で相続財産が2千万円、4千万円、6千万円の場合、手数料は2万3千円、2万9千円、4万3千円になります。それを合算するので2万3千円+2万9千円+4万3千円=9万5千円となります。
このケースでは相続財産の合計が1億円を超えているので、あとは紙代が数千円加算されるだけですが、1億円に満たない場合は1万1千円が加算されます。
また、公証人に自宅や病院に出張して証書を作成してもらうことも可能ですが、作成手数料が通常の1.5倍になるほか、日当(1日2万円、4時間まで1万円)、交通費(実費)が必要になります。
公正証書遺言の作成準備
自分が持っている相続の対象となる財産をリストアップして正確に把握します。大まかには不動産、金銭、有価証券、保険、権利、物品、各種ローンや借金が対象になるので、それぞれの価額を求めるために必要な資料を集めて財産の目録を作ります。
同時に、公正証書遺言を作成するにあたり、遺言内容を漏らさない、信頼できる2人の証人を探します。遺言者が選んだ場合は、証人2人の身分証明書と認印を用意する必要があります。該当者がいない場合は公証人に紹介してもらうこともできます。
公正証書遺言の作成当日に必要なもの
必要なものは次の通りです。
- 遺言者の本人確認資料として、印鑑証明書または運転免許証、顔写真入りの公的機関の発行した証明書のいずれか1つ
- 作成時の押印に必要な実印
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
- 法定相続人以外の人に遺産を贈る場合は、その人の住民票
- 相続人のリスト
- 財産をのこす人の不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書、財産の目録など
- 証人の身分証明書(住民票など)と認印
なお遺言の内容が複雑な場合は、作成前に税理士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
公正証書遺言を作るには手間と時間がかかる(後編)
遺言に対する考え方と作成手数料の求め方
公正証書遺言の作成準備
公正証書遺言の作成当日に必要なもの