ある日突然やってくる配偶者や親などの死。最近はエンディングノートを書く人が増え、のこした財産について故人の意思を伝えやすくなりました。しかしこれには法的な効力がありません。そこで必要になるのが遺言です。
今回はその中でも最も確実な 公正証書 遺言 について解説します。
公正証書遺言を作るには手間と時間がかかる(前編)
公正証書遺言が法的に有効なのはなぜか
遺言には他にも種類がありますが、公正証書遺言を作成するのが一番確実です。ただしこの証書を法的に有効にするには、次の項目が守られていることが前提です。
まず、文章であること。公正証書遺言は法を専門とする公証人によって書かれます。
次に、法律で決められた方式があること。法律で決められた形式と違う、内容が不明確、という場合無効になりますが、公証人の場合その心配はほとんどありません。
最後に、証書の書き方には一定の要件が決められていること。要件の重要な部分は、証書作成の際証人2人以上が立ち会うところと公正証書作成の手順が細かく決められているところです。
公正証書遺言は口述もしくは筆談・手話で作成する
公正証書遺言は口述、つまり公証人に内容を話して伝える必要があります。これができない場合は公正証書遺言を作成できないのですが、遺言を残したい人、つまり遺言者が聴覚や言語機能の障がいを持っている場合は、手話や筆談による公正証書の作成が可能です。
詳細を知りたい方には、公証役場の無料相談を利用することをお勧めします。なお、メールで無料相談の予約を受け付けていたり、メールや電話で質問ができたりする公証役場もあるので、利用したい公証役場のWebサイトは必見です。
証書作成に手間と時間がかかるけれどメリットもある
通常、公正証書を作成するときは、公証人のいる公証役場へ行き、次のような方法で作成します。
まず、遺言者が口述する遺言事項を公証人が筆記して遺言証書を作成します。次に、公証人が筆記したものを遺言者と証人全員に読んで聞かせます。そして、遺言者と証人は、筆記が正確であることを確認のうえ、署名・押印します。
最後に公証人は証書を作成した手順を記入して署名、押印します。
なお、遺言者が病気などで署名できないときは、公証人がその理由を証書に記入すればよいことになっています。このような方法をとるので、手間と時間がかかります。しかし、メリットもあります。
遺言者が死亡しても、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているので、家庭裁判所での検認の手続きが必要ありません。そのため、すぐに遺言の内容を確認することができます。
ちなみに検認とは、家庭裁判所が,偽造・変造・隠匿を防ぐため,遺言書の存在および形式について調査する手続のことです。
まとめ
公正証書遺言を作るには手間と時間がかかる(前編)
公正証書遺言とは
公正証書遺言は口述もしくは筆談・手話で作成する
証書作成に手間と時間がかかるけれどメリットもある