近年、離婚の中では協議離婚がもっとも多くなっています。夫婦での協議の結果、離婚後のいろいろなことを口約束で済ませてしまったために離婚成立後に慰謝料や養育費、親権などをめぐってトラブルになるケースが増えています。
そこで、後々のトラブルを避けるためにも 公正証書 をご紹介します。
知っておきたい公正証書 離婚届を出す前に!!
協議離婚とは
現在、成立する離婚の中でもっとも多いのがこの「協議離婚」と言われています。「夫婦で話し合い、離婚することになりました。」というのが協議離婚の大まかな概要です。そうなればもちろん、あとは離婚届を役場に出せば離婚は成立します。
調停や裁判も不要で、離婚届を出すだけなので余分なお金もかかりません。なかには、一刻も早く離婚したくて、これ以上相手に会いたくなくて、となんの取り決めもないまま離婚してしまい、あとから慰謝料や養育費を請求しても法的拘束力がないために全く支払われないケースも多々あります。
公正証書とは
公正証書は、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。公証人は、裁判官や検察官、弁護士や法務局長などを長年つとめた人から選ばれます。
公証人役場という国の機関で作製され原本は保管されますので、後日の心変わりや記憶の風化に脅かされることなく取り決めが保全されます。もちろん偽造、変造や紛失の心配もなく安心です。
公正証書の効力
公正証書の内容に強制執行ができる旨の条項を記載することにより、相手方が債務(離婚の場合は取り決められた慰謝料や養育費など)不履行があった場合に、裁判を起こさなくても給料、動産、不動産などを差し押さえる強制執行ができます。
公正証書を作った方がいい取り決め
離婚に関して公正証書を作成する場合、内容についてはご夫婦でよく検討し合意しておく必要があります。話し合う内容としては20歳未満の子がいる場合「子の親権者(監護教育者)は誰か」「子の養育費の内容、期間、支払日、支払い方法」などが一例としてあげられます。
他にも子にまつわることでは「病気や進学など特別な事情が発生したとき」や「面会交流に関すること」、子のこと以外では「慰謝料」「財産分与にまつわること・自動車などの動産や住居などの不動産の取り決めなど」「年金分割関連の合意事項」など多岐にわたりますので、あらかじめ公正証書に記載したいことのメモを作成し、夫婦できちんと話し合って合意してから公正証書を作成する段取りをしてから公証人役場に行きます。
公正証書のためのメモが完成したら
公正証書に記載したい内容のメモができたら、いよいよ公証人役場で公正証書の作成です。
まずは公証人役場に電話してみることをお勧めします。公証人役場によっては予約必須なこともありますし、混み合っていて待ち時間が長くなってしまうこともあるようです。
公正証書を作成するためには、公証人役場に離婚の当事者二人が出向く必要がありますが、面談と作製が2回に分かれている役場では、面談の時だけは片方で良いなどの違いがあるため問い合わせが必要です。
あらかじめ合意したメモが準備できていれば、公証人と離婚する当事者二人で面談しながらメモの内容を確認して公正証書が作製されます。
公正証書の作成費用
公正証書の作成費用は公正証書内に記載された金額により変わります。離婚の場合は原則として慰謝料、財産分与、「10年分の(10年以上の場合)」養育費の合計金額が「離婚給付公正証書」を作成する基準とされています。
基準額は100万円までなら5,000円から5,000万円まで29,000円で、その間も数段階に分けて設定されています。ホームページなどで公開されています。別途、用紙代などの雑費がかかりますので正確な金額は公正証書を作成に行く公証人役場にお問い合わせをお願いします。
離婚公正証書作成のための必要書類
離婚当事者の本人確認書類(運転免許証など)、夫婦の戸籍謄本(子どもが記載されているもの)この2点は必ず必要になります。他に財産分与で自動車や不動産の名義変更も記載する場合は不動産の権利書、登記簿謄本、車検証のコピーなどが必要になります。
年金分割する場合にも別途必要な書類があります。また、複雑な事案であったり、手続きをする公証人役場によっても別途書類や準備が必要なことがありますので、お問い合わせをお願いします。
公正証書があれば
強制執行の条項が記載された公正証書には裁判で出た判決と同じ効力があります。口約束で有りがちな「言った・言わない」や「記憶の風化」を避け、離婚成立後の無駄な争いを避けるためにもぜひ、離婚後の取り決めは公正証書で残されることをお勧めします。
まとめ
知っておきたい公正証書 離婚届を出す前に!!
協議離婚とは
公正証書とは
公正証書の効力
公正証書を作った方がいい取り決め
公正証書のためのメモが完成したら
公正証書の作成費用
離婚公正証書作成のための必要書類
公正証書があれば