日本では、1972年から「家庭生活の安定および次代の社会を担う児童の健全な育成のため」として、子どもを育てる保護者に対し、児童手当が支給されるようになりました。
では、この 児童手当拠出金 の元となるお金は、いったいどこから出されているものなのでしょうか?
児童手当拠出金の対象者と算出法
「児童手当拠出金」から「子ども・子育て拠出金」へ
「拠出」とは、保険や年金の掛け金を出す、または納めることを意味し「拠出金」は、保険の掛金を意味します。しかし児童手当拠出金は、保険給付というよりも、子育て支援のために充てられる税金になります。
個人が納める税金とは異なり、会社や事業主が、従業員の厚生年金を納めるときに、一緒に徴収される税金です。そして、子どもを育てる保護者に対して支給される「児童手当」の財源の一部となっています。
3歳未満の子どもに支給される児童手当の支給額のうち、月額7,000円の部分を子ども・子育て拠出金からまかなっています。
また、以前は「児童手当拠出金」という名称でしたが、平成27年4月から「子ども・子育て拠出金」という名称へと変更されました。
対象者は、厚生年金被保険者全員となります。子どもがいる従業員のみならず、独身や子どもがいない従業員であっても、厚生年金被保険者全員が「子ども・子育て拠出金」の対象者となります。
「子ども・子育て拠出金」会社や事業主はいくら納める?
会社や事業主は、子ども・子育て拠出金をいくら納めなければならないのでしょうか?
子ども・子育て拠出金は、従業員の標準報酬月額および標準賞与額に拠出金率をかけて算出されます。
標準報酬月額は、報酬月額に応じて定められており、例えば、報酬月額が195,000~210,000円未満の場合は、標準報酬月額は、200,000円、210,000~230,000円未満の場合は、標準報酬月額は、220,000円、230,000~250,000円未満の場合は、標準報酬月額は、240,000円、250,000~270,000円未満の場合は、標準報酬月額は、260,000円、等、従業員の報酬月額によって分類されており、日本年金機構のホームページや社会保険事務所等で確認をすることができます。
拠出金率は、たびたび改定されており、平成28年3月までは、0.15%でしたが平成28の改正で0.2%となり、さらに平成29年4月の改正で0.23%へと引き上げられました。
拠出金率が引き上げられたのは、主に、厚生年金加入者の給料が下がったためだと考えられます。その理由として、拠出金率は、毎年度、子供手当の支給に必要な額を計算し、これを厚生年金加入者全員の標準報酬額で割って料率を決めているのが実態だからです。
それでは参考に、子ども・子育て拠出金の計算例を示します。
従業員の報酬月額が21万円である場合
標準報酬月額は、220,000円となりますので22万円に拠出金率0.23%(平成29年5月時点)をかけ220,000円 × 0.0023 = 506円となります。
報酬月額が21万円の従業員の、ひと月あたりの子ども・子育て拠出金は、506円となり、この全額を雇用者が社会保険料とともに納付することとなります。
そのため、会社にお勤めしている個人の方々にとっては、あまり関係がない話になりますが、会社経営者や事業主としての立場に置かれている方は、この制度についてしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
このように、現在は、「児童手当拠出金」から名称を変更した「子ども・子育て拠出金」ですが、対象者は、事業者であり、従業員は負担する必要がありません。
そのため、会社にお勤めしている個人の方々にとっては、あまり関係がない話になりますが、会社経営者や事業主としての立場に置かれている方は、この制度についてしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
まとめ
児童手当拠出金の対象者と算出法
「児童手当拠出金」から「子ども・子育て拠出金」へ
「子ども・子育て拠出金」会社や事業主はいくら納める?