「慰謝料請求方法を正しく理解しよう(前編)」では、ふたりで話し合い決めた場合の慰謝料はどのように離婚協議書を作成するのか、その方法についてご説明いたしました。後編では、調停や訴訟による場合の 慰謝料請求方法 についてご説明いたします。
慰謝料請求方法を正しく理解しよう(後編)
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調停による慰謝料請求方法
話合いによる合意が成立しない場合は、家庭裁判所に「夫婦関係調整(離婚)調停」の申立てを行うこととなります。
「夫婦関係調整調停」とは、要するに離婚調停のことですが、これに付随して、親権者の決定や、財産分与、慰謝料などの話合いも行えることになっています。離婚事件の場合は、調停前置主義をとっているので、原則、初めから訴えるということはできません。
なので、調停は訴える際にも必要となります。この場合、離婚するかしないかを含めて調停することもできますし、慰謝料のみの調停をすることも可能です。
調停では、男女各1名の調停委員と相談し、調停委員を介して相手方と協議することとなるので、相手と直接顔をあわせる必要はありません。この協議で、合意ができれば調停成立となりますが、合意に至らない場合は、調停を続行することもできます。
争いがない場合や明らかに合意の可能性のない場合は1回~2回、争いがあるが合意の可能性がある場合は、5~6回程度もしくはそれ以上の回数がかかる場合もあります。
申し立てをする際は、慰謝料請求調停申立書に、請求したい慰謝料の金額や経緯について記載し、必要にあわせて書類を提出することもできます。
申立ての費用は収入印紙代として1,200円と、予納郵便切手が必要となりますが、訴訟を提起するより安く済みます。
もし、調停成立により慰謝料が決定したにもかかわらず支払いがない場合は、調停での合意は裁判の判決と同一の効力を有するので、調停調書をもとに「履行勧告」や「履行命令」、「強制執行」などを行うことができます。
ただ「履行勧告」には法的な強制力はないですが、家庭裁判所が、相手方の預金や、収入など必要な調査をして、当事者は報告を求めることができます。
慰謝料に関しては、当事者同士の話合いで成立させるのは大変です。仲介してもらえる第三者がいない場合は、調停制度を利用するのも離婚をスムーズに進める方法のひとつでしょう。
訴訟による慰謝料請求方法
調停で合意に至らなかった場合、あきらめるか訴訟を提起するかになります。調停が合意に至らなかったら自動的に訴訟となるわけではないので注意しましょう。
家庭裁判所に慰謝料請求訴訟を提起する際には、訴状に訴訟内容に合わせた添付書類をあわせて提出することとなります。調停と比べると準備すべき書面は増えます。
訴訟の費用は、収入印紙代、予納郵便切手が必要なのは調停と一緒ですが、印紙代は慰謝料の請求金額に応じて異なってきます。300万円の慰謝料を請求する場合は2万円が手数料となります。
慰謝料にあわせて金額は異なりますし、財産分与や養育費などの請求も一緒に行う場合は、別途加算されます。管轄の家庭裁判所で確認しておきましょう。また、弁護士に代理人を頼むとしたなら、さらに費用が加わります。相場は80万円程度です。
調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に訴えを提起すれば、調停で納めた手数料分が訴訟の手数料から差し引いてもらえるので、訴えを提起する場合は調停が不成立となった日から2週間以内に行うようにしましょう。
慰謝料請求を求める訴訟により判決が確定した場合、判決を債務名義として強制執行の申立てを行って財産を差し押さえることが可能となります。
訴訟は強制力が強いですが、費用も時間も労力もけた違いにかかってきます。訴訟をするには強い意思をしっかり持ってから望むことをお勧めします。
まとめ
慰謝料請求方法について正しく理解しよう(後編)
調停による慰謝料請求方法
訴訟による慰謝料請求方法