慰謝料の時効は、意外と知られていません。そもそも、人生において慰謝料を請求するというイベントは一度あるかないかという程度であり、ほとんどの人には無縁の出来事なので、知らない人が多いのも無理はありません。
民法では、債権の時効は10年とされていますが、 慰謝料 は債権ではありませんので、もっと短いです。債権の 時効 が10年ということは有名なので、混同をしてしまわないようにしておきましょう。
意外と知らない?慰謝料の時効
慰謝料の時効は3年
慰謝料とは、相手の不法行為によって被った損害を金銭で賠償してもらうものです。すなわち、損害賠償請求なので、民法724条が適用されます。
民法724条では、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」とされています。
なお、不倫による慰謝料の場合にはいくつか種類があるので、注意が必要です。不貞行為に対する慰謝料、不倫同棲に対する慰謝料、不倫が原因で離婚に至った慰謝料などがあります。
例えば、相手の不倫を知ってから3年が経過して、相手が同姓を始めたとします。すると、不貞行為に対する慰謝料は3年が過ぎているので時効となりますが、不倫同棲に対する慰謝料はまだ時効にかかっていないということになります。
債権の時効は10年
民法では、債権の時効は10年と定められています。こちらの時効も重要になります。裁判をして「100万円の慰謝料を支払いなさい」という判決が出たとします。この時点で、慰謝料は債権として確定しますので、債権の時効10年のカウントがはじまります。
一度裁判で確定した債権については、10年が経過するまでは時効にかかりません。裁判でなくても、調停や協議離婚で公正証書を作成して、慰謝料の金額を決めた場合にも同様です。
口約束でも契約は成立しますが、「言った・言わない」の争いになるので公正証書を作成しておくことが重要です。
時効が過ぎても請求ができる?
慰謝料の時効は3年ですが、3年が経過しても請求することはできます。時効が過ぎて、相手方が援用した時点で権利が消滅するので、相手方が援用をしていなければ権利はまだ消滅しておりません。
慰謝料を請求していても、相手方が「支払いますからもう少し待ってください」と言っていて、3年が経過してしまうことはあります。そのようなケースで有効なのが、内容証明郵便による請求です。
内容証明郵便で慰謝料請求をすれば、6ヶ月間は時効がストップします。その間に裁判を起こせば、時効は中断します。内容証明郵便で請求をしてもなにもせずに6ヶ月が経過してしまったら、時効がストップする効果はなくなってしまうので注意をしましょう。
また、相手方が支払いの意志を示しているのであれば、それを書面にしてもらうことが重要です。支払いの意思表示をしてもらうことも、時効が中断する要因になります。
注意するべきなのは時効だけではない
時効が来ていなければいつでも慰謝料を請求できると考えるのは、よくありません。慰謝料は不法行為による損害賠償請求なので、相手の不法行為によって損害を被ったことを証明しなければなりません。
DVなら、相手に暴力をふるわれて傷を負ったという医師の診断書や、警察に相談をしたときに撮ってもらった写真などが証拠となります。不倫の場合には、探偵に依頼をして証拠をとってもらわなければならない場合もあります。
時間が経過するほど証拠を入手することは難しくなるので、時効が来るまでは安心だと考えず、できるだけ早い段階で動くことが重要になります。法テラスへの相談は無料なので、まずは電話で相談をしてみるといいかもしれません。
まとめ
意外と知らない?慰謝料の時効
慰謝料の時効は3年
債権の時効は10年
時効が過ぎても請求ができる?
注意するべきなのは時効だけではない