「遺留分」、多くの人は言葉だけなら聞いたことがあるのではないでしょうか?相続人に保証されたごく少額の相続財産といったイメージの強い遺留分ですが、実際はどうなのでしょう。遺留分には正式な計算方法があり、それにのっとって正確な遺留分の額を算定することができます。
例を用いた 計算 を交えて、 遺留分 について分かりやすく解説します。
じつは意外にもらえる!?知っておきたい遺留分の計算方法
遺留分とは
遺留分に関しては、民法1028条によって規定されています。一定の相続人が最低限相続できる財産のことです。基本的に、亡くなった人の意思は尊重されるため、遺言書の内容は優先されなければなりません。
ところが、遺言書が「自分が死んだら、自分の全財産を愛人に渡す」との内容だったら、残された家族はどう思うでしょう?そのような家族の立場にも配慮し、最低限相続できる財産として、遺留分というものが民法で保証されています。
遺留分が認められるのは?
相続人でなければ遺留分は認められません。まず、誰が相続人に当たるのか、相続人の範囲について説明します。
相続人については法律で規定されているので、法定相続人とも呼ばれます。法定相続人となるのは、相続開始時点に存在している「配偶者」「子」「直系尊属(親や祖父母)」「兄弟姉妹」になります。親族であっても、これ以外の人は法定相続人ではありません。
配偶者は自動的に相続人としての立場が与えられますが、他の相続人に関してはそうではありません。相続順位が決まっていて、子が第1順位、直系尊属が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となります。
つまり、死亡した被相続人に配偶者と2人の子供がいたとすると、直系尊属と兄弟姉妹は相続人ではなくなります。
遺留分を受け取る権利があるのは、この中でも兄弟姉妹を除いた法定相続人です。よって、配偶者はいるものの被相続人に子や直系尊属がいなければ兄弟姉妹は相続人にはなりますが、遺留分請求権はありません。
相続人なら誰しも遺留分が受け取れると、勘違いをしていた人も多かったのではないでしょうか。
遺留分の計算方法
誰が相続人になるかによって、被相続人が自由に処分できる相続財産の割合が決まります。相続人が配偶者のみ・子のみ・配偶者と子・配偶者と直系尊属の場合は、その割合は2分の1になります。
直系尊属のみが相続人の場合は、相続財産の3分の2を被相続人の意思で処分することができます。前述のとおり兄弟姉妹には遺留分が認められていませんので、兄弟姉妹のみが相続人の場合は全財産を被相続人の意思で処分することが可能です。
配偶者や子などの遺留分権者は、全相続財産から被相続人の意思で処分できる割合を除いたものを、法定相続分にしたがって遺留分として受け取ることができます。
実際に計算してみましょう
ここで夫Aが死亡したケースで考えてみることにしましょう。相続の条件は以下の通りです。
- 夫の相続財産は1,000万円
- 相続人は妻Bと2人の子CとD
- 「自分が死んだらすべての財産を愛人Eに渡す」との内容の遺言を発見
この場合、夫Aは相続財産の2分の1にあたる500万円を愛人Eに遺贈(贈与)することができます。残りの500万円が遺留分相当額になり、それを法定相続分の妻Bが2分の1・2人の子CとDが4分の1ずつ(2分の1の2分の1ずつ)の割合で受け取ることになります。
よって、妻B・子C・子Dの遺留分の額は、それぞれ以下のようになります。
- 妻B:250万円
- 子C:125万円
- 子D:125万円
どうでしょう?実際に計算してみると、遺留分は意外と高額であることをご理解いただけたのではないでしょうか。
まとめ
じつは意外にもらえる!?知っておきたい遺留分の計算方法
遺留分とは
遺留分が認められるのは?
遺留分の計算方法
実際に計算してみましょう