「 不倫 」と聞けば、次に連想されるのが「 慰謝料 」ではないでしょうか。それぞれの気持ちが交錯する中で、話がもつれて離婚へと発展したり、加害者への慰謝料請求を考えたりという話はよく耳にします。
では実際に請求できる金額はどれくらいなのかをご説明します。
不倫の慰謝料っていくらぐらい?
慰謝料とは何か
損害賠償には2種類あり、財産的損害と精神的損害とがあります。そのうち、精神的損害に対して支払われる金銭を慰謝料と呼びます。
不倫での慰謝料とは、浮気していた夫または妻、浮気相手から受けた精神的な苦痛に対して支払われます。不倫以外では、生命・身体・名誉などの侵害に対する不法行為や債務不履行についても慰謝料請求が認められています。
民法では、709条には「不法行為による損害賠償」、710条には「財産以外の損害賠償」、711条には「近親者に対する損害賠償」が明記されています。機会があれば読んでみてください。
慰謝料の相場
法律で明確な基準があるわけではありません。精神的損害は立証が極めて難しく、ケースごとの基準を作れないのです。では、どうやって決めるのでしょう。
民事訴訟法248条の「損害額の認定」では、「裁判所は口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる」と明記されています。法律の文章は遠回しでわかりづらいですが、要するに慰謝料の金額は裁判官しだいということです。
ケースバイケースではありますが、裁判を行った場合でだいたい50万円~300万円というところでしょうか。逆に言えば、裁判をすると50万円~300万円の額に収まってしまいますので、これ以上の金額を求めるのならば急いで裁判を行うべきではありません。
合意があれば慰謝料が更に高額になっても構わないのですから、双方でよく話し合ったり、話し合った内容を公正証書にしたりなど、じっくり考えるべきです。
慰謝料の増減
単に浮気・不倫をした、浮気・不倫が原因で別居した、浮気・不倫が原因で離婚したなど、その後の夫婦関係の状態によっても金額に差が出ます。
他には、大きく分けて「期間」、「落ち度」、「主導者」の3つの要因が加わります。
期間による影響
婚姻期間が長いほど、心情の配慮や離婚後の再スタートが困難になりやすいという理由から慰謝料は増額になる傾向があるようです。
浮気・不倫の期間によっても当然に差が出ます。長期に渡り続いていた、または長期に渡り繰り返していた場合にも増額になる傾向があるようです。
落ち度による影響
婚姻生活上の問題として家庭生活は円満だったのか、または崩壊寸前だったのか、既婚者だと知って浮気・不倫関係に陥ったのか、何らかの約束をしていたにも関わらず浮気・不倫を再び繰り返したのかなど、落ち度によっても左右します。
家庭生活は円満だったのに浮気・不倫相手が家庭を崩壊させた、二度と浮気・不倫はしないと約束していたのに繰り返した、このような場合は悪質だと判断されて増額されることが予想されます。
もし他人の子どもを宿した場合、極めて大きな精神的損害を与えることになります。慰謝料の増額は避けられないと考えられます。
主導者による影響
関係のあった相手との年齢差が大きいほど、浮気・不倫の主導性に影響が出ると考えられます。例えば、50歳と20歳の男女との間に浮気・不倫関係が存在していたとします。30歳もの年齢差がありますので、特別な事情を除いて、一般的に主導者は50歳の者であったとみられます。
積極性も重要な判断材料になります。浮気・不倫相手に請求した方が、慰謝料は高額となる場合もあります。
余談ですが、確実な証拠があるのに関わらず、否認を続けることは裁判官の心証を害することになります。被害者の心情を踏みにじったと判断されれば、慰謝料の増額は仕方ありません。
浮気・不倫相手が真摯に謝罪していたり、社会的制裁を受けていた場合は慰謝料が減額されることもあります。
まとめ
不倫の慰謝料っていくらぐらい?
慰謝料とは何か
慰謝料の相場
慰謝料の増減
期間による影響
落ち度による影響
主導者による影響