夫婦の話し合いだけでは離婚の合意ができないときは調停を申し立てることになります。離婚するかしないかを決めることが目的の場合では調停中はまだ離婚は成立していません。すでに別居している夫婦もいれば同居したままの夫婦もいます。
今回は 同居 したままで調停をするときのメリットとデメリットについて説明いたします。
同居したままでの離婚調停をするのは不利ですか?
別居は「一緒に暮らせないから離婚する!」という意思表示になる
離婚する夫婦の約8割は「協議離婚」といって本人同士の話し合いで離婚を決めています。
しかしどちらかが離婚を拒んでいて夫婦の話し合いでは離婚が決められない場合や、親権・財産分与などの離婚に伴う条件の折り合いがつかない場合には「離婚調停」を申し立てて「調停委員」という第三者に介入してもらって話し合いをすることになります。
離婚についての話し合いをするということは夫婦関係がうまくいっていないということで、すでに別居している状態で調停を申し立てる人も多いようです。
別居は「もう夫婦として一緒には暮らしていけない」という状態であることの意思表示になり、反対に同居した状態で離婚調停をする場合は「まだ修復の見込みがある」という印象を調停委員に与えてしまうという考え方があります。
そう考えると同居した状態で離婚調停を申し立てるのは「離婚したい」と思っている人にとっては不利なのでしょうか。
同居したままで離婚調停をする事情とは?
いくら離婚したいと思っているからと言っても、すぐに別居するというわけにはいかないさまざまな事情があるものです。
別居するためには引っ越すための住居が必要です。実家に戻ることができればいいのですがそれが叶わない場合は新居のための手続きや費用が出て行く側の負担となります。
また子供がいる場合は子供の学校の問題もあります。親権を争うことになると子供と離れて暮らすのは不利になってしまうことがあるので、子供を置いて別居したくないという人もいます。
同居しているからといって決して夫婦関係が平穏な状態であるというわけではないのです。
争っている相手と顔を合わせて生活する苦痛
同居したままで離婚調停をする場合のデメリットとしては、「争っている状態で相手と顔を合わせていることに対しての精神的な苦痛」があります。
調停を申し立ててもすぐに話し合いの場が持てるわけではありません。申し立てをすると「呼出状」というものが家庭裁判所から双方に届くのですが、それまでには2週間ほどかかります。
その呼出状に調停のおこなわれる日程が書かれているのですが、その日程は調停を申し立ててから約1ヶ月後となる場合が多いようです。つまり実際に離婚調停をするまでには1ヶ月以上かかってしまうということになります。
また離婚調停では夫婦が顔を合わせなくてもいいように配慮がされていて、話し合いが交互におこなわれるだけでなく待合室も別々に用意されています。
別居していれば全く顔を合わせることなく離婚についての話し合いが可能なのです。しかし同居している場合は調停期間中も直接言い争いをしたりすることで不愉快な気持ちになってしまうかもしれません。
相手を近くで監視できるというメリットもある
同居したままで離婚調停をすることはデメリットだらけというわけではありません。同居していることにより相手の状況を知ることができるというメリットがあります。
たとえば相手の不貞行為や借金問題などが原因で離婚したいという場合、別居してしまうと相手のその後の状況を知るのは困難になります。証拠を隠滅されるという可能性もありますが、同居していれば相手の動向に目を光らせておくことができます。
さきほども述べたように調停での話し合いはどうしても日数がかかってしまいます。同居していることで調停以外にも話し合う機会ができるので、調停での話し合いを踏まえて夫婦で離婚や離婚回避の合意に至るというケースもあります(その場合は調停を取り下げることができます)。
まとめ
同居したままでの離婚調停をするのは不利ですか?
別居は「一緒に暮らせないから離婚する!」という意思表示になる
同居したままで離婚調停をする事情とは?
争っている相手と顔を合わせて生活する苦痛
相手を近くで監視できるというメリットもある