平成23年度に厚生労働省が実施した「ひとり親世帯の平成22年の年間収入」調査によると、 母子家庭 の平均 年収 は223万円だったそうです。これには母子家庭が受給できる諸手当や養育費の他、仕事で得た収入ももちろん含まれています。月収に換算すると僅か18万5千円です。
このような状況にありながら、はたして本当に母子家庭は優遇されていると言えるのでしょうか。
年収223万円、母子家庭は本当に優遇されているのか?
母子家庭には手厚い福祉が用意されている!?
母子家庭には、さまざまな手当や助成金が用意されています。母子家庭が受けられる制度を、以下にあげてみました。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 児童育成手当
- 特別児童扶養手当
- 遺族年金
- 住宅手当
- 生活保護
- 医療費助成制度
このように、あらゆる制度が用意されてはいますが、母子家庭だからといってこうした制度の全てを利用できるとは限りません。どの制度が利用できるかは、母子家庭の条件によって違ってくるのです。
上述した母子家庭の平均年収223万円のうち、母親の労務による収入は181万円です。したがって、手当や助成で得られる収入は、平均で42万円ということになります。
批判を浴びることがたびたびあるこれらの制度ですが、実際に支給されている金額を見ると、優遇されているとは言い難いことが分かります。
母子家庭の間でも格差が・・・
母子家庭の母親はどのような雇用形態で働いているかというと、約半数47.4%が非正規のパートやアルバイトという結果が出ています。
正社員として雇用されにくい社会の状況もありますが、子供が小さくてフルタイムで働くことが困難など、正社員として働くことが難しい家庭の事情もあるようです。
ここで、興味深い数字を紹介します。母親が正社員として勤めている場合の労務による平均年収は271万円です。それに対し、母親がパート・アルバイトの場合の平均年収は125万円と、正社員として働いている場合の半額にも満たない状況なのです。
つまり同じ母子家庭でも、年収には大きな差があることが分かります。
養育費がもらえるのでは?
離婚をする際、養育費の取り決めをしている母子家庭の割合は、37.7%程度しかありません。夫婦の協議のみで離婚への合意に達する協議離婚においては、離婚後の取り決めをしないで離婚するケースが多いということです。
養育費の支払いに限ったことではありません。財産分与や親権、面会交流などに関する取り決めは、しっかりとした上で離婚することが肝要なのです。
実際に、養育費の支払いを受けている母子家庭の割合は19.7%と、養育費の取り決めをしている割合37.7%よりもかなり低くなっています。
このように、仮に養育費の支払いに関する取り決めをしていたとしても、取り決めどおり養育費が支払われないことがあることも、母子家庭が十分な収入を得られない要因の1つではないでしょうか。
母子家庭の貯蓄額は?
母子家庭の貯蓄額からも、母子家庭の厳しい現実が垣間見られます。貯蓄額50万円に満たない世帯が半数以上を占めているのです。
このように、平均的な母子家庭の経済状況は大変厳しいものであることが理解できます。夫婦が協力して仕事と育児を担当することは、当たり前のようにも捉えられがちです。しかし、それが叶わない母子家庭は、とても重いハンディキャップを背負わなければならない社会になっているのです。
母子家庭は決して厚遇されているわけではないのです。むしろ、行政によるサポートの一層の充実を図り、収入の低い母子家庭をバックアップしていく必要があるのではないでしょうか。
まとめ
年収223万円、母子家庭は本当に優遇されているのか?
母子家庭には手厚い福祉が用意されている!?
母子家庭の間でも格差が・・・
養育費がもらえるのでは?
母子家庭の貯蓄額は?