仕事の都合などの単身赴任による別居、離婚の準備期間としての別居など夫婦が別居する事情はいろいろありますが、別居の理由が「離婚がらみ」の場合には安易に別居したことによって起きてしまうトラブルもあります。
別居中 に起こりがちなトラブルとその対策について詳しくご説明いたします。
別居中のこんなトラブルにご用心!
離婚を回避したいのならば「合意書」を作成しておくべき!
離婚はしたくないけれど一緒に生活することが苦痛だという理由でしばらく別居するというケースがあります。たとえば「夫が浮気をしたことで喧嘩になりしばらく実家に戻っている」というように、お互いが冷静になるために別居したけれど離婚までは考えていないというような場合です。
喧嘩をした勢いで家を出てきてしまったのですから当然「合意書」などは作成していないでしょう。こうした場合に注意が必要なのはその「家を出てしまった」という行為がのちのち「悪意の遺棄」として離婚の理由になってしまうかもしれないということです。
民法上では「夫婦には同居の義務がある」と定められており正当な理由がないのに勝手に家を出てしまうことは「悪意の遺棄」とみなされて民法上で認められる離婚原因のうちの1つに該当します。
そんなことにならないようにするためには別居する際には「合意書」を作成しておくようにしましょう。
別居の「合意書」にはどんなことを書いておけばいい?
「合意書」にはお互いが合意の上で別居するということを明確に記しておきましょう。ほかに「別居の理由」「別居中の生活費の取り決め」「別居中の子供の養育についてや面会について」などを書いておくことをお勧めします。
喧嘩の勢いで家を出てしまった場合でも別居期間が長くなりそうになったら、一度話し合いをして合意書を作成しておいたほうがトラブルを防げるのです。
離婚後に親権を得るためには子供は連れていくべき!
子供がいる夫婦が別居から離婚に至るときには「親権者」をどちらにするかで揉める場合があります。話し合いで決まられない場合は調停で第三者を介して親権者を決めることになります。
その場合に判断の基準となることとしては、経済的な事情や健康面なども考慮されるほかに子供の意思も尊重されます。一般には子供が幼ければ幼いほど母親が親権を得るケースが多いと言われています。
しかし別居していた場合は「子供の生活環境を変えるのは望ましくない」という配慮から別居中に子供を養育していたほうの親が有利になるということがあるのです。
「とりあえず家を出てしまったけれど落ち着いたら子供を引き取るつもりでいた」という母親に対して父親が周囲の協力を得てきちんと子育てをしているという状況であれば、そのまま父親が親権者としてふさわしいと認められる可能性が高いということなのです。
こんなトラブルも起きています
よくあることではありませんが、別居中にパートナーが勝手に離婚届を役所に提出してしまうというトラブルの例もあります。離婚届の提出には筆跡鑑定などはなく印鑑も実印ではなく三文判でいいので本人が知らないうちに提出された離婚届が受理されてしまうということがあり得るのです。
もちろんこうした文書の偽装は犯罪ですから取り消すことは可能ですが、取り消すためには「離婚無効の確認」という手続きをしなければならず、戸籍にもその事実が残ってしまいます。そんなことをされないようにするためには「離婚届の不受理申出」を役所に出しておく必要があります。
また別居中の財産の管理も注意をしておかなければいけません。離婚の際には財産分与をすることになりますが、勝手に貯金や保険を解約されてしまうというトラブルはよく耳にします。
別居中に相手が何をするかわからないというような場合は証書や通帳を手元において管理するようにしましょう。
まとめ
別居中のこんなトラブルにご用心!
離婚を回避したいのならば「合意書」を作成しておくべき!
別居の「合意書」にはどんなことを書いておけばいい?
離婚後に親権を得るためには子供を連れていくべき!
こんなトラブルも起きています