離婚を前提に別居、関係を再構築するための別居など、別居の目的は人それぞれありますが、別居中における生活費に不安を抱える人も少なくないのではないでしょうか。
そこで、夫婦間における 別居中 の 生活費 の 支払い 義務 が発生するケースについてお話します。
別居中でも生活費を支払い義務がある?!
別居中であっても生活費をもらうことができる!
夫婦には同居義務があります。夫婦は同居しお互いに支え合い扶養しあうのが望ましい形です。しかし、常に円満な夫婦関係であればそれは可能ですが、すでに夫婦関係が破綻状態にあるなど、同居が難しい場合は『別居』という形をとることも認められています。
そこで問題になるのが『生活費』です。
今まで夫の給料で生活し、妻はパートやアルバイト、もしくは専業主婦で過ごしてきた家庭では、別居中の生活費に困ってしまうケースも少なくありません。パートやアルバイト、まして専業主婦では生活できるだけの給料を受け取るのは難しいといえます。
本来、夫婦には同居義務の他に相互扶養義務によって、結婚生活における費用は互いの収入に合わせて分担する義務があります。
もちろん、子供の養育費や生活費も含まれます。この婚姻生活における生活費を『婚姻費用』といい、これは別居中でも認められるものであり、生活費は分担しなくてはいけないのです。
しかし、別居の理由によっては「婚姻費用が発生するケース」と「婚姻費用が発生しないケース」があります。
婚姻費用が発生するケース
リクルートのブライダル総研の「離婚に関する調査2016」では、男女の差はあるものの、離婚理由として「性格の不一致」「人生観の違い」「価値観の違い」「金銭感覚の違い」などが上位をしめています。
どちらが悪いと決められるような理由ではなく、人それぞれの考え方や価値感のずれがもとで離婚するケースが多いようです。
別居の理由として、どちらか一方が原因(悪い)ではなく、こうしたずれからくる別居である場合は、生活費などの婚姻費用を支払う義務があります。また、婚姻費用を支払われていない場合は、請求することもできます。
当然ですが、請求される側に別居の原因がある場合は、婚姻費用を支払う必要があります。
婚姻費用が発生しないケース
婚姻費用が発生しないケースとして一番わかりやすいのが、婚姻費用を受け取る側の「不倫」などによる、請求側に別居の原因がある場合です。
不倫によって請求側が、「勝手に家を出て行った」「行方不明になり、突然婚姻費用の請求を受けた」などといったケースでは、請求側が勝手に家を出たこと、不貞行為をしたことによる貞操義務を反していることから、婚姻費用の分担は不公平であるとの考えが強く、婚姻費用を支払う義務はないとされることが多いです。
請求される側に非が全くない場合、生活費を支払う義務は人道的に認められないケースが多いようです。
しかし、相手(請求側)が子供をつれて別居状態になった場合は、話が変わります。
子供に罪はない!
「相手に原因があって別居したのに!」とどんなに理不尽に思っても、別居中に子供にかかる教育費や生活費などは、「婚姻費用」として支払わなくてはいけないケースが多いようです。
『子供に罪はない』の考えのもと、別居など夫婦間の不仲で一番の被害者は子供です。
どんな理由があって別居に至ってしまったとしても、子供の生活する権利は守らなくてはいけません。
納得がいかない部分があったとしても、子供の養育分は支払いましょう。
お互いのために婚姻費用を決める
請求される側、請求する側と立場によって思うところは違いますが、別居における生活費として『婚姻費用』は法律的に認められた権利になります。
1、2カ月程度で別居の解消となり、元の夫婦として生きていく形になればいいのですが、残念ながら離婚に至ってしまうケースや、長年別居状態で過ごす夫婦も多いです。別居生活が長ければ長いほど、生活費などにかかる金額も高額になる場合もあります。
後に争いにならないためにも、『公正証書』の作成や前もって取り決めることが理想です。とはいえ、夫婦関係が悪化して別居するケースがほとんどなので、もし話し合いが難しいとなれば家庭裁判所での調停などで決めることも可能です。
請求する側は生活を守るためにも、請求される側は後に高額請求を受けないためにも、別居後の生活費となる婚姻費用について話し合いましょう。
まとめ
別居中でも生活費を支払い義務がある?!
別居中であっても生活費をもらうことができる!
婚姻費用が発生するケース
婚姻費用が発生しないケース
子供に罪はない!
お互いのために婚姻費用を決める