夫の暴力が耐えられない、浮気をされた、性格の不一致といった理由で、離婚前に別居をする夫婦は少なくないようです。一緒に住んでいてマイナスになるような相手と一刻も早く別れたいという気持ちは、多くの人が理解できるところです。
しかし、離婚というイベントでは、慰謝料などで大きなお金が動くことがあります。ここでは、 別居 をすることで金銭的なデメリットを被らないように関連知識を紹介したいと思います。
慰謝料がもらえなくなる?離婚前に別居するときの注意点!
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別居をすると夫婦の協力扶助義務に背くことになる?
民法では、夫婦には協力扶助義務があるとされています。夫婦は互いに協力し、扶助しなければならないという義務のことです。
例えば、旦那が生活費をぜんぜん入れてくれないといった場合には、夫婦の協力扶助義務に反しているので、生活費を請求することができますし、それでも応じてくれない場合には離婚原因にもなります。
この協力扶助義務は、自分を犠牲にして相手を助けるという意味ではありません。夫婦で同レベルの生活をするように助け合っていれば十分です。一方だけが贅沢をしているという場合には、協力扶助義務違反の疑いがあります。
さて、別居をすると、この協力扶助義務に反することになるのでしょうか?これはケースバイケースです。夫の暴力など、やむを得ない理由がある場合には義務違反にはなりません。
また、特に理由がなくても「他に好きな男ができた」と言って出て行った妻を裁判所が強制的に連れ戻すことはできません。しかし、自分の都合で出て行ったのだから、生活費を請求することなどはできなくなります。
自分から協力扶助義務を放棄したのだから、相手に対してそれを要求することもできないということです。
別居をすると離婚時の財産分与に影響する?
別居をすることの代表的なデメリットが、離婚時の財産分与です。例えば、結婚して10年の夫婦が離婚をする時には、専業主婦をしていた妻は夫がその間に稼いだ給料の半分を財産分与でもらうことができます。
しかし、結婚して5年目に別居をして、5年間別居した後に離婚をした場合、婚姻期間は10年ですが、財産分与では同居していた5年分しか対象にできません。別居をしている間は夫の給料に貢献していたとは言えないからです。
別居をすると慰謝料を請求できない?
別居をすることのもう1つのデメリットは、夫が不倫をしていても慰謝料を請求できないということです。本来なら、夫の不倫を原因として離婚をする場合には100万円から500万円程度の慰謝料をもらえます。
しかし、妻が家を出て行って協力扶助義務を果たしていなかった場合、夫が不倫をしても慰謝料は請求できません。不倫は不法行為ですが、すでに別居状態にあって夫婦関係が破綻していたのなら損害は発生していないと考えられるからです。
もちろん、別居をする前に夫が不倫をしていた場合には、慰謝料を請求できる可能性もありますが、別居してしまうとそれを証明することは難しくなります。夫が不倫をしている場合には、同居を続けて不倫の証拠を入手することがおすすめです。
夫のDVの被害にあっている場合も同様です。しっかりと警察に被害届を出して、証拠の写真をとってもらったり、病院で診察を受けることが重要です。DV被害にあっていても、証拠が残っていない場合には夫が開き直る可能性もあります。
別居をしても離婚はできない?
中には、性格の不一致や価値観の相違、他に好きな人ができたといった理由で別居をしてしまう人がいます。夫が離婚に同意してくれないケースや、そもそも話し合いをすることすらせずに家を出た場合です。
しかし、別居をしても離婚原因となるには別居を5年程度は続けなければなりません。その間、勝手に出て行った妻は旦那にたいして生活費を請求することはできません。
きちんと離婚をしたなら財産分与、養育費、(夫に不法行為がある場合は)慰謝料を請求することもできるのに、夫からなんの援助も受けることができないのです。その上、離婚をするという目的を達成するには5年程度は別居を続けなければならず、ハードルは高めです。
結論!別居をするよりも離婚をしましょう
結論として、離婚前に別居をすることにはデメリットが大きいです。夫の暴力に耐えられずにやむを得ずに一時的に家を出て非難するといったようなケース以外では、しっかりと夫と話し合って、財産分与や養育費などの取り決めをして離婚をするようにしましょう。
夫が離婚に同意してくれないというケースでも、諦めて家を出て行くのではなく、弁護士などの専門家に相談をしてアドバイスを仰ぎましょう。法テラスなら無料で相談にのってもらえます。
まとめ
慰謝料がもらえなくなる?離婚前に別居するときの注意点!
別居をすると夫婦の協力扶助義務に背くことになる?
別居をすると離婚時の財産分与に影響する?
別居をすると慰謝料を請求できない?
結論!別居をするよりも離婚をしましょう