離婚には、お金の問題が付き物です。慰謝料・財産分与・借金・不動産・生活費などさまざまですが、今回は「借金」についてお話します。夫婦での 借金 、夫婦どちらかの借金は離婚する際にはどうなるのでしょうか。具体的な例をあげてみていきましょう。
「借金」が原因として認められる離婚とはどのようなケース?
お金に関する離婚について
離婚や相続でのお金の問題は分け合うことが基本です。原則的な考え方はプラスもマイナスもわけ合います。
しかし、離婚と相続問題をごちゃまぜに考えている方もいるのではないでしょうか。相続の場合は、プラスもマイナスも引き継ぐのですが、マイナス部分が多い場合は「相続放棄」という手段があります。
対して離婚の場合、マイナス部分が多いからといって「借金を放棄」なんてことは基本的にできません。プラスだけもらうけど、マイナスはいらないなんて都合が良い話はないでしょう。
例えば、夫が妻に内緒で、銀行や消費者金融などからお金を借りていたとしましょう。この場合に問題になるのが、お金を借りた目的と用途です。
スーパーで食材を買うために、ローンを払うために、車の修理代を払うためになど、夫婦の生活に必要なお金のために借りたのであれば、内緒で借りたとしても夫婦の借金です。
対して、趣味やギャンブルで使ったのならば、もちろん夫の借金ですので妻とマイナスをわけ合う必要はありません。
離婚への具体的な流れ
お互いが「離婚したい」と思っているのならば良いのですが、どちらかが「離婚したくない」と思っていたり、離婚に関する権利関係・財産などでもめたとしても、すぐに離婚裁判とはなりません。
法律用語で調停前置主義というものがあり、要するに調停を経なければ離婚に関する裁判はできないということです。裁判を起こすには5つの要件があり、この内の最低限1つは当てはまらなくてはいけません。
不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻を継続しがたい重大な事由、これを法定離婚原因と言います。
借金が原因とするのならば、上記の法定離婚原因に当てはめると「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。
しかし、「婚姻を継続し難い重大な事由」というのはあまりにも抽象的なものです。借金を理由とした離婚が認められるかどうかはケース・バイ・ケースですが、単なる「夫・妻の借金」を理由とする離婚裁判は、はっきり言って認められるのは難しいと考えられます。
ではどうしたら良いのでしょうか。またも抽象的な表現になりますが、「夫婦生活の破綻」が重要な意味を持ちます。「婚姻を継続し難い重大な事由」によって離婚するのであれば、借金の有無よりも「夫婦生活の破綻」を強調して進める必要があるということです。
住宅ローンはどうなる?
夢のマイホームのために住宅ローンを組んで、マンション購入や新築住宅の建設、中古物件の購入をした方も多いはずです。トラブルを回避する1番早い方法は、売却して財産を分与、または残りの返済金を分与することです。
しかし、どちらかが住み続けるとなるとなったとき、問題になるのが名義・連帯保証人・ローンの支払義務者です。これに関しては裁判でどうこうするというより、ローンを組んだ金融機関との問題になります。
金融機関は支払い能力で判断しますので、「夫の名義で購入したけど離婚するから妻名義に変更すれば良い」なんて簡単に考えてはいけません。この場合、妻に収入が無いとしたら名義変更は不可能に近いでしょう。
連帯保証人の場合でも同じで、「離婚するから連帯保証人から外して欲しい」と思ったとしても、判断するのは金融機関ですので外せないケースももちろんあります。
名義・連帯保証人・ローンの支払義務者はそのままで離婚しなければならないケースも想定しておきましょう。
教育ローンはどうなる?
子どもがいる場合、進学などに合わせて教育ローンを組んだ方もいるでしょう。基本的な考え方は上記で説明した住宅ローンと同じです。マイナスの財産として分け合う必要がありますし、名義・連帯保証人・ローンの支払義務者を変更するには金融機関の判断次第となります。
しかしながら、住宅ローンとは違い自分の子どものために組んだローンですから、名義・連帯保証人の変更を強く主張する方は少ないのではないでしょうか。
まとめ
「借金」が原因として認められる離婚とはどのようなケース?
お金に関する離婚について
離婚への具体的な流れ
住宅ローンはどうなる?
教育ローンはどうなる?